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日を追うごとに世界経済の悪化が目立つようになり、いよいよ各国のハードデータもかなり悪い数字が飛び出すようになってきています。

どうも状況的には新型コロナ起因の世界恐慌が到来するのはほぼ間違いなさそうな状況ですが、すでに90年近く前の1929年の大恐慌の社会はどんな状況だったのでしょうか。

米国における1929年からの約4年ほどの経済、社会を改めてチェックしてみますと、ここからの世界がどのような社会になってしまうのか朧気ながらにもイメージすることができます。

1929年からの米国起因の大恐慌は悲惨そのもの

1929年の大恐慌は、同年の10月24日米国の株式市場の暴落で幕開けとなり約1か月ほど大きな下落をして一旦回復しますが、結局その後4年近く相場が下落する期間となりました。

そもそもこの大恐慌とはThe great depressionという英語から来ている言葉です。

金融システム崩壊、企業倒産が相次ぎ失業者が街にあふれる通貨の暴落、ハイパーインフレが示現するというのは大方の定義となります。

1929年から突然始まった大恐慌で、米国は1933年までにGDPが半減することとなり生産指数も1932年ではほぼ反転、卸売り物価指数は33年までの4年間でほぼ3割り下落することになります。

失業者数は暴落から4年後にちょうど1283万人となり、失業率は24.9%を記録し当時細かく存在していた米国の銀行は実に6000行が破綻、株価はピーク時からなんと89.2%も下落しています。

政策的な失敗から、フーバー大統領の後任として登場したルーズベルト大統領は、ニューディール政策を開始し雇用機会をつくるとともに連邦緊急医局を設立し、貧困にあえぐ国民に最低限の生活費、当時一家族あたり23ドルを支給したとされていますが、どの家族もほとんど食費にそのお金が消えてしまい、ホームレス化した家庭が大量発生したと言われています。

またかろうじて仕事を失なわなかった労働者も1934年頃までに平均賃金が3割も減少し、生活は相当苦しいものになったとされています。

こうした数字は遠い過去のものに思えますが、今直面している新型コロナ大恐慌では同じような状況が再来する可能性が高く、ウイルス感染が収束すればすぐに景気がV字回復し、元の生活に戻れる可能性が低いことを冷静に認識しなくてはならない状況であることを改めて感じさせられます。

3月の株価の下落では収まらないのはもはや確実か

新型コロナ禍での株式市場は、とにかく先手を打つ形でFRBが史上空前の緩和を行っていることから、相場自体はかなり短期に値を戻す展開となっていますが1929年からの4年間を概観してみますと、ここから実態経済の悪化を反映して株価が下落することは覚悟しておかなくてはならず、しかもその下落水準は3割程度では済まないことも認識しておく必要がありそうです。

29年の大恐慌では大底を打つまでに実に3年の時間がかかっていますが、金融危機から始まったリーマンショックでさえ元に戻るのに2年の時間がかかっています。

11月の米国大統領選にむけて相場が急回復し、さらに上昇軌道に乗るといった楽観的な見方をすることがほとんど現実的ではないことは間違いなさそうです。

とくに失業者の激増は消費を大きく鈍らせることになりますから、個人消費がすでに構成要素の7割前後になってきているGDPの縮減からすぐに戻すことになると考えるのも無理がありそうです。

ここから何がきっかけで再度下落相場が始まるのかは誰にもわかりませんが、そう遠くない時間軸で大底を試す相場が示現することになるのではないでしょうか。

多くの市場参加者が、暴落したらとにかく中央銀行が緩和策を繰り出して何とかしてくれるという非常に楽観的な期待を高めており、これが厳しい実態経済と株価、債券価格との乖離を生み出していることは間違いない状況です。

しかし株価は個別の企業の将来の期待収益、期待成長の現在価値ですから先行きの収益も確保されない、GDPも大幅縮減する中で株価だけがすべてを無視して上昇を継続することなどあり得ないのが現実です。

この大きな乖離がどのような形で、どのタイミングから実態経済のほうにサヤ寄せしてくることになるのかが非常に大きな注目点になりそうな状況になってきました。

今回ご紹介した1929年からの4年間ほどの社会状況が、同じように今の社会に起こるかどうかはまだわかりませんが、かなり似た状況になることだけは覚悟しておく必要がありそうです。