週明けにかけての為替市場は、EUが巨額の復興基金の拠出を合意できるかどうかが最大の注目点となっています。
18日、19日の両日の会期内には決着がつかず19日にさらに継続して協議を延長して行うことになり、結論がどうなるのかは非常に危うい状況になってきています。
13日からの週は、この基金がなんとか合意するのではないかといった期待からユーロは大きく買い上げられる動きになりましたが、結論が延期や結果的に破談となった場合にはユーロ売りが加速しそうで注意が必要となりそうです。
7500億ユーロ・日本円にして92兆円にも及ぶ巨額の復興資金はオランダなどが返済不要の補助金が大半であることに強く反対しており、ミシェルEU大統領もこうした意見に配慮する形で返済不要分を5000億ユーロから4500億ユーロに減らすよう修正していますが、それでも合意には至らない状況です。
週末はなんとか1.14レベルを維持して引けていますが、結果次第ではまたユーロ安が進行する可能性が高く、ドル円もそれに巻き込まれることは十分にありえそうで交渉の結果に注目が集まります。
このEUサミットは議題次第で夜通し行うようなこともある結構タフな会議となっていますので、すんなり月曜の東京タイムに決着がついてスタートできることになるのかどうかは全く判りません。
なんらかの妥協案で合意が得られればユーロ高の傾向は継続することも期待できる状況です。
ドル円は完全な材料不足も新型コロナ感染次第
ドル円についてはユーロドルの動きに引っ張られるような推移となりましたが、基本的に夏休みも近づいて材料不足の感は否めず、107円を駆け上がる力もないものの106円台に入りますと底値も堅く若干下方向に動きそうではありますが、大きな値動きになりそうな気配はほとんど感じられない状況です。
週明けは後半から本邦市場は本来オリンピックが開幕となることから連休となりますが、東京型と呼ばれる変異した新型ウイルスの感染が大きく広がりを見せていることから、新型コロナ感染関連で大きな動きがでれば休みの期間中に想定以上に値を下げる可能性もでてきており、今後の相場の動きは新型コロナ次第という状況も強まることになりそうです。
ドルインデックスは下降傾向
ドルの強さを示すドルインデックスは、3月に新型コロナ起因で大きく下げたあとドルキャッシュ需要が続いたことから103を超えるレベルまで上昇しましたが、それ以降は頭打ちの状態が続き冷静に見ると上値を切り下げる動きに転じていることがわかります。
ドルインデックスはその57%程度の構成比がユーロドルからきていますので、かならずしもドル円にそのまま適用にはなりませんが、それでもユーロドルがユーロ高になってくる場合ドル円が円高に振れる可能性は高く、5年程度の長期で見た場合にはダブルトップを形成して右側のショルダーを作り始めているようにもみえます。
この場合88レベルまで下げてさらに下値を狙う可能性もあり、長期でレンジ相場だったものが下方向に動いて行くリスクも考える必要がでてきているようです。
為替相場はすっかり落ち着いて大きな動きがでなくなっていますが、このまま年末まで動かぬ相場が続くとは考えにくく、とくにドルはこれだけFRBが緩和措置で必死に紙幣を印刷してばら撒いていて、どこかで決定的なドル安に陥ることも想定して取引を進めていきたいところです。
すでに7月も後半に突入しようとしていますが、シーズナルサイクルから言えばドル円は8月中盤にむけて下落しやすい時期に入りますので、年前半に大きく崩れた相場が今年も例年と同様のサイクルに戻ってくるのかどうかにも注目が集まります。
この2週間あまりの相場はほとんどの通貨ペアでも大きな動きが出ないことから非常にやりにくい時間帯が続きますが、新型ウイルス関連の感染はまったく収束の見込みはたっておらず、株式市場だけがまったくこの状況を無視して上昇を継続していることから為替もほとんど相場が動かない状況となっています。
突然センチメントに変化が出る可能性も十分に認識して取引していくことが肝要となりそうです。