新型コロナ関連の情報はさすがに多くのトレーダーが飽き飽きし始めているようですが、リアルな生活ではまだまだ命に係わる問題で飽きたから無視するなどというわけにはいかないかなり厳しい状況が続いています。

多くの主要国でも感染は食い止めたいものの、経済を動かさないことには国が立ち行かないことになるという厳しい判断や政治的に景気回復感を醸成しないことには選挙に勝てないといった非常に複雑な事情から、都市封鎖を継続して完全に経済をストップさせるわけにはいかない状況に陥っています。

そんな中で経済を一切止めないことを公言して国民は普通に生活し働く国があります。

それが欧州ではスウェーデンであり南米ではブラジルが筆頭に挙げられますが、この両国ともに経済優先を明確にしたものの感染拡大途上の足元においても結果は最悪の経済状況に陥りつつあり、政策が完全に裏目に出ていることがあきらかになってきています。

国民が抗体を形成することに賭けたスウェーデンの悲惨

コロナ禍で経済優先を打ち出した国ほど経済が疲弊するというパラドックス
平常通りにぎわうプール Photo TT NEWS AGENCY-REUTERS https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-93831.php

一時、英国のボリスジョンソン首相も国民が広く抗体を形成するまで何もしないノーガード戦法のようなことを実施することを口にして、自身がコロナに感染してからはすっかりこうした発想をひっこめていますが、これを徹底的に貫徹しているのが隣国北欧スウェーデンです。

この国は政府がパンデミックの広がりの中でも一切行動制限を設けず、人々はこれまでどおりの生活を続ける形になっています。

しかし、同時期にロックダウンを実施した周辺国に比べますと各段に感染の死者数が増えており、1000万人たらずの人口ですでに死者数は5500人を突破しています。

また、2020年の年間成長率もマイナス4.5%の見通しがスウェーデン中銀から既にだされている状況で、経済活動を抑制しなくても感染者、死者が大量にでれば自律的に経済はシュリンクし景気は後退するということを猛烈な犠牲を伴う社会実験で実証したことがわかります。

IMFが先ごろ発表した2020年の経済見通しは、当初見通しよりもさらに下方修正され世界規模ではマイナス4.9%となっていますから、それよりはましであるとは言えそうです。

それにしても国民の犠牲は多大なもので、これが果たして先進国がとるべき対応なのかという点については疑問が残る状況です。

見て見ぬふりを貫くブラジルはさらに悲惨な状況に

コロナ禍で経済優先を打ち出した国ほど経済が疲弊するというパラドックス
Photo AFP https://www.afpbb.com/articles/-/3294445

スウェーデンと同様に新型コロナを無視してさらに悲惨な状況に陥っているのが南米のブラジルです。

こちらは感染者がすでに200万人を上回り、世界第二位の感染国となっています。

死亡者も7万5000人超でさらに増加が予想されており、ややもすれば世界一位の感染国である米国を追い抜きかねない状況に陥っています。

新型コロナを単なる風邪と嘯いてきたボルソナロ大統領も自身が感染してしまうという体たらくで、いまだに強気の発言をしており誰が正しかったかは歴史がこの先証明してくれるといった強気な発言をしていますが、こちらも経済を優先した結果は悲惨でIMFの年間見通しでは、マイナス9.1%の成長落込みが見込まれるようになっています。

これだけの犠牲を払って経済優先してもなんら成果が出ないこの状況を国民は一体どのように評価することになるのでしょうか。

やっている振りをする日本は一体どうなのか

この2つの国の惨状を見ますと気になるのが日本の状況です。

現状では他国に比べて著しく感染者、死亡者が少ないですが、東京型などと言われる地域起因の変種ウイルスの大量感染が進んだ時に、果たしてこれまでのような少ない死亡者で乗り切ることができるのかが大きな問題になりそうで、東京がエピセンター化した場合他国の状況とはまた大きく異なる展開に直面することになりそうなのがなんとも恐ろしい状況です。

IMFによれば日本は感染者数、死亡者数ともに主要国よりは少ないものの2020年の経済成長はマイナス5.8%で率からいえばスウェーデンよりも厳しい状況に追い込まれています。

日本政府も再度非常事態宣言を出して経済を止めることには想像以上に消極的で、結果的にここでご紹介した2つの国の悲惨な事例に追随しかねない点は非常に危惧されるものがあります。

感染対策を徹底するといってもなかなか効果的な封じ込めの策が見当たらない以上、経済優先をかかげてもひっこめても結果は同じという非常に冷めた見方もあるのは事実です。

国民にとっては新型コロナで身内が次々と命を奪われ、何も対策をとることができないというのは相当忍びないものがあり、マクロ的に見れば大した話しではないとされてしまうのは流石に我慢できないものがあります。

経済面からいいますと消費を減らさないこと、またそのために雇用を拡大することが求められます。

今どの国を見渡してもこれがしっかり実現できているところは皆無であるのが実情で、年後半に向けて各国がどのようにコロナに対応するかは株式市場にも為替市場にも想定外の大きな影響をもたらすことになりそうです。