ゴールドはドルベースでの価格が史上最高値を更新中で、それに追随するかのようにシルバーのドルべースの価格も7年ぶりに高騰をみせはじめています。

3月の相場の大暴落の時にはとにかく全資産が売られたことから、大きく値を下げることとなったゴールド並びにシルバーですが、ここへ来て連日暴騰が継続中です。

一体市場では何が起こっているのでしょうか。

ドル建て金価格推移
ドル建て銀価格推移

リスク回避の安全資産需要の高まり

まず、金や銀が積極的に買われるようになっているのは、あきらかに相場での安全資産への需要が高まりを見せていることが背景に挙げられます。

FRBの3月からの無制限緩和は、すでにそのバランスシートが7兆ドルにまで膨らむほど大きくなっていますので、市中に資金が出回り過ぎていることがまず金や銀への資金の流入につながっていることは間違いなさそうです。

しかし、それにもまして安全資産へリスク分散から一定の資金を投入しておきたいと考える投資家が、非常に増えていることが実は大きな理由ではないかとされはじめています。

米株市場は個人投資家の参入により確かに資金は潤沢に流入して相場を押し上げることに一定の寄与をしていますが、すでにFANG+マイクロソフトといった5銘柄でS&P500の全銘柄の取引時価総額の22%を構成するようになっており、あまりにも特定銘柄に資金が偏って投資されている点を旧来からの投資家が大きく嫌気している現状があります。

さすがに旧来からの投資家にとっての相場状況はかなり異質なものに映っているようで、これがリスク分散による安全資産への資金流入を引き起こしているのは間違いない状況のようです。

米国におけるパンデミック収束の目途が立たないことも大きな理由

トランプ大統領は21日に新型コロナに関して会見を行い、米国におけるこのウイルスの感染状況が今度さらに悪化するであろうとの見通しを示しています。

これと連動するかのように貴金属の商品先物市場では銀が実に7年ぶりの大幅上昇を見せることとなっています。

さすがに金のように史上最高値をつけるところまではいっていませんが、やはりこちらも安全資産需要の高まりを明確に示現する相場の動きといえます。

主要国の株式相場では、新型コロナの感染状況とは全く関係なく株式市場がカネ余りから過度な流動性相場を作り出し始めていますが、実態経済と乖離しすぎた相場に違和感を抱く向きは想像以上に多いようで、やはりまさかの時を想定して投資資金を分散することで、少しでも想定外のリスクに対応できるようにしたいと考える投資家が多くなっていることがわかります。

とくにコロナ感染者数の増加は米国に留まらず、日本を含めて世界各国に広がりを見せており、すでに二次感染と見ている国も多くなっており、夏になれば一服するといった楽観論もすっかり影をひそめる状況になってきています。

経済は年後半に向けてさらに悪化する可能性はもはや確実な状況で、株式市場だけが現実の経済からかけ離れた相場を続けていくことを安易に期待するのは難しい状況です。

金市場は中央銀行自体がマニピュレーションを行うので注意も必要

金価格というのは何かにつけてリスク回避のタイミングでその価格を上昇させやすくなっていますが、実は主要国の中央銀行がもっとも市場に介入して相場を故意に上下させやすい商品でもありますので、中央銀行が価格を抑える動きにでる危険性もあり価格上昇は手放しには喜べないところもある点には注意が必要です。

そういう意味では市場性が発揮されやすいことから銀のほうに資金がシフトするというのも判らないではない話といえます。

いずれにしても我々が見ている以上に主要な市場参加者は相場にリスクだが迫ってきて言うこと強く感じているようで、株の上昇だけを無闇に好感していられないところに差し掛かっていることは強く感じさせられます。

個人投資家の場合投資分野を分散するというのもなかなか難しいものがありますが、一つの相場領域だけに集中させないという視点で市場を見回してみるのはたしかに重要になりそうです。

とくに海外FXを利用していますと、同一のプラットフォームで同一資金を駆使して商品CFDや株式CFDなどにも投資ができるのは大きなインセンティブとなっていますので、こうしたタイミングこそ視野を広げてリスク分散を研究してみるのが絶好に機会となる可能性が高まります。

どうもこのまま何事もなく秋の米国大統領選を睨んで相場が上昇するにはいかない可能性も高まってきているようです。

あらゆつことを想定したうえで、これまでとは異なるリスク分散を導入していくことが重要になってきていることが強く窺われます。