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9月第一週の後半、突然さしたる理由もなく大幅下落を始めた米株三指数ですが、ソフトバンクグループがコールオプションで大きくNASDAQの値を上げてその後決済したことから、相場が暴落したといった報道に目がいきがちではあるものの、理由は何であれいよいよ新型コロナの相場暴落の二番底、もしくはさらなる大底を確認する動きが示現するのではないかという懸念が今頃になって広がり始めています。
すでに市場では新型コロナでは二番底は到来しないといった楽観論が広がり、誰もそうしたリスクを語らない状況が続いていたわけで、ここから新型コロナの第三波が冬に向けて到来することは間違いないようで、冬場は死者数もこれまで以上に増加するといった深刻な見方が出始めていることも相場の先行きに暗い影を差し始めています。
現状ではここから大幅な下落が示現するのかどうかはまったくわかりませんが、大統領選年の9月から10月初旬については毎回それなりの下落を示現することが多いだけに、普通にしていてもそれなりの相場下落が起きる可能性は高く、現状の下落状況がさらなる暴落の引き金になるかどうかに大きな注目が集まります。
S&P500チャートは完全にメガホンパターン
2017年頃から現在までのS&P500のチャートを見ますと、完全にチャートの広がりがいわゆるメガホンらっぱ状態となっており、こうした動きが示現する場合には大きな下落になる可能性が高まるものです。
9月3日から突然始まった下落が理由はどうであれ、ここから大幅な下落のきっかけになることは十分ありうるもので、過去にこうしたメガホン状態のチャートから下値を模索する相場に遭遇したことのある向きにとっては、非常に嫌な時間帯に差し掛かっていることがわかります。
アナログチャート分析では依然として下落懸念のNYダウ
このコラムでも既に何度かご紹介しているアナログチャート分析という手法で、過去のチャートの動きと足元までのチャートの動きを重ねてみると、5月ぐらいまで非常に動きが酷似していると注目されてきた1929年からのNYダウのチャートと3月の暴落以降のダウのチャートは依然として近似性がかなり高く、とくに1929年は暴落後6か月は上昇過程にあったものが突然下落をはじめ、しかも相当長期にわたって下落トレンドを展開するようになったその動きに現状のチャートが似てきている点が気になるところです。
もちろん1929年当時と違ってFRBは史上最大規模の緩和措置を行っていますし、実際株価は一旦暴落後の最高値から史上最高値までつける猛烈な回復を示していますから、完全に1929年とシンクロしているわけではありません。
それでもかなり似通っており、ほぼタイミングを同じくするように6か月後に下落をはじめそうな動きになっている点を危惧する市場参加者は多く、やはり二番底がやってくると再想定する向きが出ている点がなんとも気になる状況となってきました。
この4月以降明らかにFRBの過剰な緩和に想像以上に潤沢な給付金の支給から、米国内では個人投資家が雪崩れを打つように株式市場に参入し、低金額でも取引ができるロビンフットをはじめとする取引無料アプリを利用した売買は、市場全体の半数以上を占めるというこれまでの株式市場では考えられない状況が示現し、このバブル相場が終焉するとともにさらに大きく相場が下落する局面に突入するのかどうかが問われる時間帯になってきていることがわかります。
1929年の場合その後3年近く相場は延々と下落することになり、いわゆる暴落という一時的なものではないトレンドをもった下落相場となり、多少の上下動を伴いながらこの動きに準じたような流れになった場合には相当な下げを示現する危険性が高まり、非常に心配されるものとなりそうです。
戦後の米国のリセッションではやはり相場は、一旦下落すると半年やそこいらで簡単にもとに戻るということはあり得ないのが過去の事例からもわかり、これまでの暴落から半年間の相場状況は楽観的なものであったことを改めて感じさせられます。
相場の世界は必ず過去の歴史を繰り返すと言われるだけに、ここからどうなっていくのかには十分な注意を払う必要がありそうです。
トランプ政権が誕生した当時のNYダウは1万6000ドル台でしたから、現状ではすでに1万4000ドル近い上昇を果たしており、仮に半値戻しまで下押しするとなれば、2万2000ドルレベルまでの下落が現実のものになるリスクが出てくることになります。
ここへきてこうした下落がにわかに注視され始めている状況は無視できないものがあります。
こうなると為替にも影響がでることは必至であり、引き続きその動きを見守りたいところです。