フィンセン文書の突然の暴露で欧米株式市場は大幅下落の大混乱

米国財務省の情報機関であるFinancial Crimes Enforcement Network・通称FinCEN(フィンセン)と呼ばれるところに、各国の金融機関から届けられた疑わしい取引に関する秘密報告やそれに関連する電子データがバズフィードニュースに提供され、さらにそれを国際調査報道ジャーナリスト連合の非営利報道機関が中心になり、16か月余りにわたって分析してきた結果がとうとう9月21日に暴露される形で突然公表となりました。

今回明らかになった内容によれば1999年から2017年までの期間で実に総額2兆ドル、日本円にして210兆円にのぼる疑わしい取引があったとされており、世界的にポンジスキームの実行者や反社会的組織、麻薬密売人、テロリストが金融機関口座を利用しながら違法な資金をペーパーカンパニーに送金していた可能性が指摘されています。

すでにこの文書ではHSBC、スタンダードチャータード、ドイツ銀行、そしてJPモルガンの名前が開示されており、4つの銀行の株価は週明けから大幅に下落、それにつられるかたちで欧州、米国の株式市場の株式指数も大幅に下落することとなりました。

実はこの文書には本邦のケース57件も含まれており、東京五輪に関連するケースやゆうちょ銀行のケースなども入っているようで、なぜか国内の金融市場はほとんど反応していません。

恐らくこれから問題が大きくなると下落が加速することになるものと思われます。

欧米の主力金融機関は判っていてあえて不正送金にかかわっていた可能性

今回暴露されたフィンセン文書は実に2500件以上のファイルから構成されており、大部分は2000年から2017年にこの機関に送られた過去の顧客の不審な行動などが報告されています。

各国の金融機関はこうした文書で疑わしい案件と報告していますが、これ自体が犯罪や過失を証明するものではない点は気をつけなくてはなりません。

フィンセン文書に含まれる2657件の文書のうち実に2121件は不審行為報告書(SAR)となっており、顧客が不審な取引をしたことが記録されていますが、どうも各金融機関があらかじめ判っていてこうした送金に手を貸したのではないかという点が大問題になりつつあります。

具体的な例として出てきている4つの欧米の主力銀行は次のようなものがあげられています。

HSBCは自行が顧客から詐欺に口座が送金に使われているとの指摘を米国の捜査当局から受けたにも関わらず、その後も世界中で数百万ドルという莫大な金額の不正送金に加担していた可能性が挙げられています。

スタンダード・チャータード銀行は、10年以上にわたってテロ組織の資金源となっていたヨルダンのアラブ銀行への資金移動を判っていて黙認していたとこのと。

また、同じく英国のバークレイズ銀行はロシアのプーチン大統領の側近の一人が制裁によって欧米諸国の金融機関を利用することが禁じられているにも関わらず、ロンドンの口座を利用してこれを回避することを手助けした可能性があるとのことです。

米国のJPモルガンの馬場井オフショア企業の所有者を把握せずにロンドンの口座に10億ドル以上の送金を認めていたとのこと。

実はこの所有者はFBIの重要指名手配者の一人であることが判明しています。

このようにあげだしたら切りがないような内容がびっしりと掲載されており、東京オリンピックを巡り招致委員会がコンサルタント契約を結んで日本円で2億円超を振り込んだとされるシンガポールの会社の口座から、IOCの委員だったラミン・ディアク氏の息子に3700万円ほどが送金されていたことも思わぬところで明らかになっています。

どうも見ていますと不正送金の中心地としてUKのロンドンがかなり頻繁に利用されているようで、金融の中心地は不正送金の中心地でもあることが明らかになっています。

国内の反応は驚くほど鈍いが平行して新たな火種も

このフィンセン文書の公表で欧米ではとにかく金融株が売られ株式市場は大混乱に陥りましたが、連休明けの本邦株式市場はなぜかどこ吹く風の状況で、メディアもほとんど騒ぎにしていないのが現状です。

しかし、実際にはゆうちょ銀行の名前も上がっており全体57件もの記載があり、これが詳らかになると不都合な事実が明るみにでそうで、ここからの動きには相当注意が必要です。

ところで国内ではフィンセン文書とは別に、ポンジスキームで摘発され14名もの幹部が一気に逮捕されたジャパンライフの首脳陣と政治家が深く関わっていたという問題がでてきていますが、菅政権は桜を見る会を中止することで蓋を閉めようとしているようです。

本件はもちろん司直の手によって詳細が解明されることになるのでしょうが、政府が主催したイベントがポンジスキームのセールスツールとなり、それを信用した高齢者の顧客がすっかり騙されて詐欺被害の拡大に寄与することになったとなれば、刑事捜査とは別に安倍前首相と政府にはしっかりとした詳細の説明責任が求められるところです。

世界的に反社会的組織や詐欺集団の存在とそれに対する対応が大きな問題になっているときに、一国の首相がそうした集団と付き合っていたなどという問題は言語道断で、国際社会も大きく注目しているだけにここからの政権の対応がかなり注目されることになりそうです。