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米国大統領選挙まで速いもので一か月半を切るところとなりました。

この選挙戦でのバイデン候補との差別化戦略の一環として、トランプ大統領が進めている中国叩きの戦略にとうとう極めつけの秘策が飛び出す可能性が米国で噂され始めており注目を集めています。

これがまさかの米国と台湾の国交回復に関する交渉再開宣言で、さすがに一か月程度の時間内で国交の正式回復というところまではこぎつけることはできないと思われますが、中国が長年取り込もうとしてきた台湾を米国がここにきて国として認め、さらに国交を回復するということになればそのまま見過ごすことはできない大問題となるのは間違いなく、ここからのトランプの言動に大きな注目が集まりそうです。

微妙な発言をし始めた台湾・蔡英文総統

去る9月19日、台湾では李登輝元総統の告別式が執り行われ各国の首脳が弔問に訪れたのをきっかけとして、この前後に積極的な弔問外交が繰り広げられてきました。

米国の要人の台湾訪問時の自由貿易協定の交渉に関するハイレベル経済・ビジネス対話なる会議の開催もその一つだったわけで、それに伴う米台要人の会食の席上、蔡英文総統が台湾としては重要な一歩を踏み出す決意をしたといった発言をしたことから、米台に何か動きがでるのではないかという観測が非常に高まりつつあります。

中国は長年中国という国は一つだけと主張してきており、日本を含む多くの国がこの意向に沿うような形で台湾との国交を樹立させない、あるいは従来からあった国交を断つといった動きにでてきたことは有名で、トランプの新たな対中戦略で米国と台湾が国交を樹立する、あるいは外交的関係を一歩進めるといった事態が10月に突然起こることもありうる状況になってきているのです。

国連総会でも徹底的に中国非難を行ったトランプ

9月22日に始まった国連総会の一般討論演説で、トランプは公然と新型コロナウイルスをあえて中国ウイルスと呼び、このウイルスは中国が世界に感染を拡大させたと主張、国連は中国に対し一連の行動の責任をとらせるべきだと主張したトランプは、すでに米中戦争開戦前夜を思わせる勢いで中国批判を展開して対する習近平もトランプ政権を厳しく批判しており、米中関係はこの4年の中でももっとも厳しい状況に陥っていることがわかります。

確かに米国内では20万人もの死者がでており、ウイルスとの戦争状態に陥っていると言っても過言ではなく、それが中国が適切な対策を行い周辺国に情報を伝えなかったことに起因して起きた人為的な問題であるということが明確になった場合には、米国の主張もまんざら嘘ではないということになりそうで、この段階で完全に断定したような発言を行うトランプの姿勢には完全に戦略的な中国叩きの姿勢がうかがえます。

果たしてトランプショックが起きるのか

今をさかのぼることほぼ50年前の1971年、当時の米国大統領であったニクソンが突然中国人民共和国への訪問を予告し、翌年本当に北京訪問を実現した話しはニクソンショックと呼ばれてかなり注目を浴びることになりましたが、その後の米中の関係は決して米国の望むような方向には動いておらず、逆にクリントン政権以降中国から資金援助を受けることで、米国内における中国の台頭と世界進出を許してきたという過去があります。

それを一気に巻き戻そうとしているのがトランプ政権であり、今回もし米台の外交関係が改善する様な動きや声明がでればまさに21世紀のトランプショックとなる可能性が出てきているというわけです。

米国の大統領選挙も開票まではどうなるかわかりませんが、米台国交樹立を目標とした協議を開始するといったステートメントに米国、台湾のトップがサインしたとなれば、たとえバイデンが大統領に指名されたとしても簡単にそれを廃棄することはできなくなり、トランプ陣営のたくみな戦略が垣間見えてきます。

くしくもトランプ大統領は今、ノーベル平和賞のノミネーションにもかかっている状況で中国との戦闘的状況は避けたいはずで、そもそも戦争嫌いのトランプとしては台湾との関係改善に乗り出すことがもっとも中国に影響を与える秘策であると考えても決しておかしくはありません。

実際にこうした行動が現実のものになるのかどうかはまったくわかりませんが、米中関係を知る識者ほど否定しないのもまた事実であり、本当に米台孤高回復が起きたとき中国がどう対応し米国に制裁を加えてくるかにも注目が集まります。

中国としてはさすがに米国との国交を今更断絶するというわけにもいかないでしょうし、国際社会の立場としてもそうした動きにでることはかなり難しいのは間違いありません。

その代わりに経済や金融の領域で報復的な措置が繰り出された場合、株式市場や為替市場に甚大な影響が出ることは間違いなさそうで、今後の推移を注視すべき状況となってきています。