米国大統領選は早いものであと一か月強の選挙期間が残されるのみとなってきました。

日本時間の30日午前10時からは、一回目のテレビ討論が開催されるなどいよいよトランプ、バイデン両陣営のつばぜり合いが最終局面で激しさを増すであろうことは容易に予想できる状況です。

しかし、認知症が疑われて外から見ていても本当に大丈夫なのかと疑いたくなるバイデンは、メディアの世論調査ではかなり堅調な支持率の推移をみせており、過去の例から見ますとこれだけ支持率に差がつくとトランプが再選されない可能性も高まりをみせています。

こうした状況にもっとも対応を苦慮しているのが米系のファンド勢で、接戦が続いていることからどのようにリスクヘッジをすべきなのかで相当な議論が巻き起こっているようです。

支持率は調査によって異なるがおおむねバイデンが良好な数字に


こちらではAFPがとりまとめた支持率の数字をご紹介します。

9月23日現在ではバイデン候補がトランプ候補よりも全国平均でみても7ポイント以上リードしており、主要激戦区では若干さは縮小するもののあいかわらずバイデン有利で、この間形成が逆転したのはほんの一瞬だけというかなりきわどい状況になっていることがわかります。

通常当選後4年の選挙は現職大統領の信任投票的な意味合いが大きいもので、今回ばかりは本当に政権交代する可能性も残されていることがわかります。

11月3日の投票後の開票では決着がつかない可能性も

この事前の世論調査ほど米国の大統領選であてにならないものもないのですが、それでも今回は2000年のブッシュとゴアの戦いのように接戦になる可能性はかなり残されているようで、開票結果だけでは決着がつかずお互いに裁判闘争に持ち込まれるリスクも非常に高まりつつあります。

上述の2000年の選挙の場合11月7日に投票が行われたあと裁判闘争となり、投票内容の再集計を受けてゴア陣営が敗北を宣言したのが12月13日で相当空白の時間を経過することになり、こうしたリスクの示現にどのようにヘッジを行うかがファンド勢の最大の悩みになっているようです。

一般的にはよほどのことがないかぎり大統領決定後は株式市場も上昇するのが常ですが、バイデンの選出決定なら株価が下落し債券が売られるといった悲観的な見方も市場には漂っており、どう予想するかが非常に大きな問題になりつつあります。

10月の選挙前、11月の選挙後ボラの高い相場が継続か

ここから11月の選挙実施まででも相場は、ニュースヘッドラインによって上下に振らされることになりそうで、11月の選挙後の開票で決着がつかなかった場合には嫌気して大きく下落する可能性は十分に考えられ、下落のリスクにあわせたヘッジ策を講じることがまず必要になりそうです。

ただ、意外にトランプがすんなり勝利した場合には2016年同様相場は爆上げすることもありうるだけに、ヘッジのヘッジを考えることも必要になりそうで対応は複雑です。

このコラムでもすでにご紹介していますとおり、テレビ討論などでバイデンがまともにトランプとの議論に応戦できず、挙句の果てに認知症を強く印象づけるような失言や行動に出た場合、選挙を見るまでもなく総崩れになる危険性も十分にある点は危惧されるところです。

これまで少なくとも大統領の資質に向く向かないといった基本的な判断はあったにせよ、候補者がややもすれば認知症かも知れない高齢状態というのは前代未聞であり、多くの有権者がなんとなくそうではないかと既に認識しているだけに、映像で決定打がでるのはもはや逃げ場のない状況になってしまいます。

今回の大統領選挙は様々な点でかなり過去のものとは異なる状況で、それだけに相場がどう動くかを明確に予想することが難しく、個人投資家も迂闊にポジションをとって相場の乱高下に巻き込まれないように注意する必要がありそうです。