Photo Reuters https://www.bbc.com/japanese/54337019

30日、日本時間の午前10時から始まった米国大統領選挙の一回目のテレビ討論会が開催されました。

事前の予測通りディベートからは程遠い内容で、4年前のトランプの相手をいきなり遮る攻撃も復活でバイデンもそれをうるさいなどと応戦し、まさに聞くに堪えない猛烈な相手への暴言合戦となってしまいました。

唯一バイデンのほうは、心配された認知症の症状が露見することはありませんでしたが、快活さは一切見受けられずトランプよりはまだましといった印象しか与えないものとなりました。

討論の終わり辺りから米国ダウの先物は大きく下がりだし、一時はマイナス500ドルをつけるほどの下落ぶりで全体としてバイデン有利に見えたことから、市場が酷く嫌気して先物で売りを加速させるといった状況になりました。

ただ、NYタイムに相場が開いてみれば大きくプラスに動くこととなり、大統領選挙をどう読み込むかが非常に難しいことを如実に表す相場状況となってしまったことは間違いありません。

11月3日の選挙後すぐには大統領が選ばれない可能性大

今回の選挙はコロナにからんで郵送で投票が採用されていることから、11月3日の投票後すんなり開票が進む状況ではなさそうで、どこまで開票が遅れるのかが大きな証言になりつつあります。

また、トランプ大統領は敗戦という結果がでても簡単には負けを認めるつもりはないらしく法廷闘争に持ち込む気満々の状態で、2000年のブッシュ対ゴアの戦いのときの状況と同様な展開、あるいはそれ以上の最悪の状況となりそうで、ここから6週間から9週間程度、選挙が終わっても想定外のおおきなボラティリティをともなった相場になる心配がありそうです。

金融市場にとっては実に迷惑なことですが、30日の東京タイムで示現したような強烈な下げや逆に報道を受けての上げが交互に続くかなり厳しい相場展開が予想されます。

多くの市場参加者がポジションを落として対応するリスクも

今のところ市場参加者は大統領選のために株のポジションを落とすような作業はおこなっていないようで、現物株は買い、先物を売ると言ったリスクヘッジを行っているのが現状です。

あまりにもリスクが高まれば現物株自体のポジションを減らす動きを加速させる可能性もあり、ここから10月相場は例年とは大きく異なる動きが示現することにも注意が必要になりそうです。

株式市場に大きなボラティリティがでるということは少なからず為替市場にも影響がでるのは間違いなさそうで、まったく想定外の動きになることも覚悟する必要がありそうです。

いよいよ相場はこの大統領選に備える動きを見せる可能性はかなり高そうで、それにともなう値動きの変化が明確に示現してくることもあらかじめ認識しておきたいところです。

トランプが勝利ならば元の軌道に戻りバイデンなら株、ドル円売られるか

毎回新大統領が選ばれますとかなりの確率で相場は上昇するものですが、今回トランプが再選確定であれば相場は12月にかけてもとの軌道に戻っていくことが考えられるものの、どうやらバイデン勝利となるとウォール街にはかなりネガティブな空気が流れ株式市場も下落で対応する可能性がありそうです。

これは法人税に対するバイデンの考え方をかなり市場が嫌気していることの表れて、ドル円もドル安に動く可能性が高そうです。

ただ、どちらが勝利したとしてもここから選挙後のドル円は、どうしてもふくらみにふくらんだ連邦債務に対応するためにもドル安志向になることが考えられ、例年のシーズナルサイクルが今年は全く無視されることもあり得そうな状況になってきました。

2016年の大統領選挙の時もトランプが勝利した場合、株価もドル円も暴落といった事前の噂が流れましたが結果的にはそうした動きにはならず、年末に向けて棒上げしてしまったのは記憶に新しいところです。

したがって、事前の予想をあまりにも意識すること自体リスクになりそうですが、それでも例年の12月までの相場と異なる動きになることも一応は想定しておくことが重要になりそうです。

ただ、理由はなんであれ相場が動くということは利益機会の大きなチャンスと言えますので、どうこのボラティリティのある相場を利益に生かしていくかを真剣に考えるタイミングにもなりそうです。