米国の大統領選を前にして、トランプ大統領とホワイトハウスの側近が相次いで新型コロナに感染してしまい、いわゆるクラスターを発生させてしまったのはこれまで新型コロナの影響を受けてきた金融市場には、もっとも大きなネガティブインパクトを与える結果となってしまいました。

トランプ大統領のここからの様態の推移や改善の見込みなど、市場参加者の誰一人として明確な見通しを持てないだけに、リスク回避が市場全体で強まるのは当たり前の話で、恐らく大統領選が終了し新大統領が決定するまではこうした動きがかなり強まることが予想されます。

これまで新型コロナの感染問題はもっぱら経済に大打撃を与え、それが結果として株価や為替をはじめとする各種金融市場に大きな影響を与えるという構造であったわけで、為政者が感染して政治が空白になるというケースは英国のボリスジョンソンの感染、集中治療室での治療以来のもので、ブラジルの大統領が感染した時などとはまったく異なる厳しい状況になってきています。

感染のきっかけは9月26日のパレット判事紹介のホワイトハウスイベントか

新型コロナ感染は経済を通してより政治の現場からが相場に絶大な影響を及ぼすことに
Photo Reuters https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64589430T01C20A0EA2000/

ホワイトハウスで一気に新型コロナ感染が広がったのは、9月26日に開催されたパレット判事の連邦最高裁判所の新判事指名紹介イベントであったのではないかという観測が強まっています。

日経新聞に掲載された写真を見ますと、感染した人間は集中している状況でなぜこんなに接近して着席したのか、トランプ政権はかなり新型コロナを甘くみていたことが窺い知れる状況です。

これ以上感染の拡大がないのかどうかはまったくわかりませんがさらに拡大した場合、相場に与える影響も相当大きくなることが予想されます。

また、民主党側にも感染が広がらないのかどうかも気になるところです。

大統領選までは手じまいの相場になる可能性も

こうした突然の状況から、株式相場では一旦手じまいして様子を見る動きが強まる可能性も出てきています。

これまでの米株相場は実態経済とは関係なく、すでにコロナは相場の材料ではないという見方も強まり、ロビンフッダーなどの個人投資家がとにかく買いあがるという異常な相場状況が続きましたが、さすがにトランプ感染はそうしたムードを一変させる状況になっており、バイデンの選挙戦勝利の場合、シリコンバレーのIT企業への増税の可能性が高まることから、ハイテク株は軒並み売られる展開になりつつあります。

いずれにしてもトランプの様態、並びに選挙戦の行方がはっきりしないことにはリスク回避のしようがありませんから、10月の米株相場はそれなりに下落を継続することは意識しておく必要がでてきているようです。

ドル円は確実に円高方向に動きそうな状況

3月以降、新型コロナ起因の暴落後は市場におけるドルキャッシュ需要が異常に高まったことから、リスクオフ相場になってもドル円はドル高に動くケースが多かったわけで、今回のトランプ感染の一件ではさすがに当事国のドルを買うことでリスクオフとはいかず、円買いやスイスフラン買いが進みつつあります。

恐らく混沌とした状況はここ数日では収まりませんし、何か悪いニュースヘッドラインがでればドル円はさらに売られる可能性が高くなりますので、ここ数週間ドル円は下落傾向に動くことを意識する必要がありそうです。

ただ、すべてが解決の方向に動けばこの時期は年末に向けて上昇する時期でもありますので、下値は意外な買い場になることも想定しておく必要がありそうです。

新型コロナ感染は経済を通してより政治の現場からが相場に絶大な影響を及ぼすことに
トランプの動画メッセージ

トランプは病院に入院して以降もとにかく元気に執務に従事していることをアピールするために、単なる言葉のメッセージでだけでなくしきりに動画を配信するようになっています。

果たして本当にこの動画に写っているように病状がほとんど出ていないのかどうかには疑問の声もではじめており、当面はトランプ病状と回復に関するニュースヘッドラインで相場が上下することは覚悟せざるを得ない状況です。

投資家はトランプ動画の顔色から判断して米株の先物を買い戻す動きも示現していますが、まだこの先はよくわからないのが正直なところです。

為替相場を動かす材料は経済指標を含めて様々なものがありますが、10月相場はすっかりトランプ次第の状況に陥りつつあり、日頃以上に一層注意した取引が求められます。

こうした材料に一喜一憂するのもかなり辛いものがありますが、相場のテーマは完全にこれに集中しつつありますので、避けては通れないものがあります。