米株は大統領選を控えて小刻みな上下動を繰り返しておりますが、当初市場の見方として選挙前に一旦大きく調整するのではないかとみられた株価三指数は上昇こそしませんが、意外に下値の堅い状況が継続中です。

一方、日経平均のほうはここのところもうなにがあっても下がらない相場になりましたが、流動性が枯渇した相場には魅力が感じられず、確かに下がらないけれど逆に上がりもしないという資本主義の自由な市場形成から大きく逸脱した相場を展開し始めています。

果たしてこの相場将来的にどうなるのかが非常に気になるところとなってきました。

本邦証券会社は日経平均の堅調性からさらなる上昇を示唆

日銀とGPIFの買い上げで上昇させた日経平均の人工値付け相場~果たしてこの先どうなるのか
Data Tradingview

本邦の証券会社アナリストからは下がらない日経平均は年末に向けて24000円を超えてさらに上昇し、25000から果ては40000円まで見えてきたといった楽観的な見通しが多く聞こえてきます。

しかし、企業業績は新型コロナ禍で決して回復、上昇はしていませんし、何より米株市場のように強力に相場をけん引するGAFAMのような銘柄が存在するわけではありませんから、本当にここからさらに上昇するのかどいうかはかなり疑わしい状況になりつつあります。

確かに公的マネーによる強烈な買い支えのために下がらなくはなっていますが、だから上昇するかといえばそちらにも大きな疑問が残る状況です。

東証一部の8割が公的マネーの大株主化という現実

8年弱前に始まったアベノミクスで、日銀とGPIFが政権意向に基づくように国内のETFや現物株を買い上げたことが日経平均を89年の市場最高値からほぼ半値戻しまでを示現する様になっています。

安倍政権では2018年9月、景気拡大が終焉する前に24190円レベルをつけたあとは確かに下落はしませんが、それを超える上昇を果たすことも出来ていないのが実情です。

これだけ日銀やGPIFが買い上げても高値を更新しないというのは非常に注目すべきポイントで、どれだけ人工値付けを作為的に行っても上昇限界があることが見え始めています。

直近で朝日新聞が報じたところでは、すでに日銀とGPIFが東証一部2166社中1830社において事実上の大株主となってしまっているようで、すでに保有総額は67兆円、時価総額に占める比率は12%にまで登っているということです。

これは2016年3月末の980社、そう保有額40兆円時価総額に占める比率8%という数字からどの項目でも大きく跳ね上がっており、これこそがまさに相場が高値に張り付いて動かなくなるなっている大きな要因であることがわかります。

確かに株価が下がらないというのは大きな安心ではありますが、相場は本来上げたり下げたりという自律的な循環があるからこそ大きく上昇するもので、下値をとにかく下げさせない相場というのは本来のダイナミズムを失い、非常に膠着性の高い状況に追いやられることが多く、実際に日経平均もそれに近い状況が示現しはじめています。

物理的にはまだ買増しする余地はあるのかもしれませんが、さすがにここからさらに公的マネーの保有率が高まることになると相場はますます高値で膠着することになり、海外のファンド勢もこうした状況を嫌気して投資を控える可能性はかなり高くなりそうです。

市場のここからの投資意欲を著しく減退させる可能性も

GPIFは純然たる投資ですから、上昇して一旦売り向かえばここからでもある程度の回転が効く状態ではありますが、問題は日銀のETF買い上げで相場水準を下げないために高値でも買増しているのが現状で、どこかで株価が大きく下げれば日銀のバランスシート上債務超過に陥ることは間違いなく、別組織にこうした債券を移行させて長期に処理するとばしを行うであろうことは間違いなさそうです。

果たしてそれが中央銀行がやるべきベストプラクティスなのかといえばかなり首をかしげる状況になりそうです。

何より資本主義のまっとうな株式市場を大きく棄損しかねないだけに、このままのオペレーションを延々と繰り返すことになるのかどうかは、非常に市場の関心も集まるところとなっています。

菅政権は安倍前政権の政策をそのまま継続する意向を固めていますが、このアベノミクスという名の人工相場政策が健全な相場を著しく阻害しているのは間違いなく、ここから一体どうなるのかが非常に大きな問題になりそうです。