米国の主要メディアはほぼすべてバイデンの勝利を報じ、ご本人自身勝利宣言を行っている米国大統領選挙ですが、トランプは全く負けを認めておらず延々と膠着状態が続いています。

すでに11月も半月を過ぎ、ここからこの選挙結果はどういうことになるのかが引き続き注目されますが、実は法律を盾にとりますと驚くべき飽き返しの可能性が見えてくることになります。

Photo Reuters https://www.sankei.com/world/photos/160210/wor1602100042-p1.html

12月8日までに選挙人が決まらないと11月3日の投票は無効という驚くべき状況

米国のメディアが報じている選挙結果は正確にはプロジェクション、つまり予測の域を出ていないものが含まれており、激戦区でははっきり決まっていない部分がかなり残されています。

さらにトランプ陣営が開票のやり直しや郵便票の差し止めといった法的手段に訴えて、選挙人を確定できないまま12月8日を迎えてしまいますと、11月3日の選挙結果自体が無効になりトランプの取り消し訴訟もそこで終焉を迎えることになってしまいます。

そうなると選挙人は州の議会と州知事による選定ということになりますが、議会と知事との政党がねじれている場合は連邦議会での採決ということが法律で認められています。

そもそもこの法律は敗者が不服を申し立てて議会が再評決をするといった仕組みになっていませんので、米国ではほとんど実施したことはないまさに異例の事態ということになります。

したがって、各州があげてくる選挙人を決められないとなると選挙は来年1月6日まで後ずれし、連邦の下院の州選出議員による投票へと持ち越されることになるのです。

しかし、ここにトランプの狙う最大の秘密が隠されていることがわかります。

下院は全体として民主党が過半数だが州単位でみると共和党議員が過半数

12月8日までに選挙人が決まらず14日に選挙人投票がしっかり実施されないと、議会に大統領選択投票権が移るなどという話しは米国でもいまだかつて実施されていないプロセスですが、選挙票の数えなおしや無効の訴えは裁判所の判断でどうなるかは全く分からないものの、この12月8日までに選挙人が決まらないと最終的に1月6日に下院の議会で決定するというのは連邦法で明文化されていますので、民主党がどんなに騒いでもその形で粛々と実施されざるを得ないのが現状です。

そこいら中で訴えを起こしているトランプ陣営はその訴訟そのもので勝利を得るとは思っておらず、この驚愕のプロセスを利用しようとしていることはどうやら間違いなさそうです。

ただこれも絶対トランプ有利と決まったわけではありませんから、相当な裏技となることは間違いないようです。

相場は年末から年始にかけてまさかの大荒れの可能性も

現状ではこうしたプロセスに持ち込まれてしまう確率がどのぐらいなのかは全くよくわかりません。

仮に12月8日までに選挙人が確定できないとなった場合は、すっかりバイデン勝利のご祝儀相場のようになっている米株市場にも激震が走り、リスクオフから想定外の売りがでることは十分に想像できる状況です。

中国やロシアはこうしたプロセスの存在をよく理解しており、いまだにバイデンに祝意を表すようなことはせず静観しています。

もちろんこの選挙を契機として米国内が内戦状態のような混乱に陥ることを強く期待しているのかもしれませんが、こうしてみますとこの大統領選、まだまだ株や為替の相場に降りかかるリスクはしっかり残されていそうで、一旦相場で利益がでているトレーダーは感謝祭の前後までにはリカクして妙なリスクを取り込まないようにしたいところです。

やはり米国大統領選は想像以上に恐ろしきイベントであることを今更ながらに認識させられます。