11月第二週、9日のロンドンタイムからNYタイムへと移行しようとした時間帯に突然ファイザーの新型コロナウイルスワクチンが治験で9割の効果を確認したといったニュースがヘッドラインを走ったことから、株も為替も猛烈なリスクオン相場が展開することとなりました。

NYダウは一時1600ドル近い暴騰を記録し、ドル円も103.700円レベルから何度も噴き上げてストップロスをつけて105.680円の手前までショートカバーするという驚きの事態をなったのはご存じの通りです。

しかし、その後ファイザーのCEOがあらかじめ予定していたとはいえ保有株の6割のこの報道後の高値で売り抜け、さらに上級副社長も同様の売り抜けを行っていたことが明らかになり、合法ではあるものの本当にそんなことをCクラスが行っていいのかという懐疑的な見方も広がり、そもそもワクチンに効果があるのかマイナス70度以上を維持して保管、移送が可能なのかといった問題も噴出しはじめ、株価のほうはまだこのユーフォーリア相場の名残を残したものの為替は完全にリスクオン賞味期限切れの展開に逆戻りしています。

ドル円は103円台までの全値戻しすら視野に入る展開に

ドル円4時間足推移

週前半大きく上昇したドル円でしたが、さすがに105円台中盤から上はオーバーシュート気味にストップロスをつけただけだったようで、時間が経つにつれて105.500円すら超えられなくなり、13日には結局104円台にまで落ち込み下髭もつけないままに104円台中盤で週の取引を終えるというまさかの展開になってしまいました。

週明けもある程度の戻りはあるのだろうと思われますが、もはや105円台は絶好の売り場でむしろここから再度下値をためしにいく動きのほうに注意が必要になってきています。

材料的には103円をさらに下抜けるほど大きな下落要因はありませんが、12月のECB理事会、FRB政策決定契合では双方ともに緩和措置がでることはほぼ決まりの状況で相対的に円高になる可能性も高まってきているだけに、ここから12月相場についてはドル円の上値が一層重くなることも視野に入れる必要がでてきているようです。

ポンド、ユーロはBREXIT待ちだがもはや交渉決裂は時間の問題か

ポンド、ユーロともにファイザーのワクチン期待から大きく上昇することとなった一週間でした。

とくにUKはファイザーからすでにワクチンを9000万人分確保する予約をしているということで、感染収束に大手をかけられるのではないかという期待もあったようで、ユーロも同様に上昇する相場となりました。

しかし、15日には本来決着がつくはずのUKのBREXIT交渉が週明けまで伸びるということから、事実上ハードBREXITが避けられないのではないかといった憶測も飛び交う始末で、一時的にまたポンドとユーロが売られる時間帯も見られました。

テクニカル的には上方向も考えられ、まさに交渉結果次第の時間帯がさらに近づいてきていることを感じさせられます。

ユーロドルは上値は1.19超あたりで下値は1.16の手前が意識されるところですが、状況次第ではまた下抜けする可能性もありそうで、注意が必要な一週間です。

欧州圏での新型コロナの感染は完全に新たなステージに突入しており、欧州系で変異したコロナウイルスは飛沫感染しやすいという結果もでていることから、ロックダウを解除できる見通しが全く立っていません。

本来ならばクリスマス前に一旦収束に持ち込むことを前提にして、11月早めのロックダウンに踏み切った国も多かったようですが、そのような目論みにウイルスが収束しない危険性がかなり高まっています。

ユーロドル4時間足推移

11月第三週は米国の感謝祭前のフルに稼働する一週間で、最終週になると市場参加者が大きく減ることになりますから、ここからどのように取引きするかはかなり重要な時間帯になります。

動かない通貨ペアに固執するよりも動意のある通貨で、利益を確保することを考えたい一週間となりそうです。