新型コロナウイルスの感染による影響は、今も世界的に経済に大きな変化をもたらしています。

金融市場にも絶大な影響を及ぼすことになったのはご存じの通りですが、株式市場を中心にして新型コロナワクチンの開発のほうに目が集まるようになっており、感染拡大第三波到来はほとんど材料視されないというなかなか理解の難しい状況が続いています。

そんな中で12月が近づき、ほとんどのヘッジファンドが決算を迎えることとなります。

今年はどうも大手であればあるほど大きな損失を出しているようで、この年末にかけてはかなり広範な顧客の解約、またファンド自体の閉鎖も増加しそうで、それに伴う市場への影響がでることが懸念されはじめています。

業界全体に投資成績は低調・かつ大手が大きく負けた年

今年は3月に新型コロナ起因での暴落が発生し、ヘッジファンド勢はこの暴落で大きな損失を被ることになってしまいました。

株式市場は史上最高株価などをつけているわけで、十分に取り返すことができたのではないかと思われる方も多いと思いますが、実施には取り返せたファンドは非常にわずかであり、その痛手は想像以上のものであったことが窺われます。

ブルームバーグ・ヘッジファンドが開示している指数では、年初から10月末までのリターンは平均たったの0.4%と単純にS&P500のETFを購入して放置していたのと比べても各段に低いリターンしか稼げていないことは明快です。

しかもファンドの場合にはこのリターンとは別に投資手数料を取られるわけで、多くの投資家が解約に向かうのも仕方ない状況です。

また、今年の特徴としては大手のファンドほど運用利回りが低く、業界最大手と言われるレイダリオがCEOで有名なブリッジウォーターアソシエイツも旗艦ファンドのリターンはマイナス19%と最悪で、AIを駆使して取引を行うことで有名なクォンツファンドのルネッサンステクノロジーも最悪の状況といえます。

こうした大手ファンドは分散投資に長けており、ブリッジウォーターなどはリスクパリティ戦略の先駆者として知られ、多くのファンドがそれを真似るほど業界では影響を与える存在となっています。

しかし、この40品目以上に分散投資を行い損失がでる商品は一定のレベルで容赦なく損切をするという投資手法は、2008年のリーマンショックの際にはかなり効果を発揮ししっかりと収益を確保できたのですが、今回の新型コロナでの3月の暴落はあらゆる商品が全部売りという過去にない状況に陥ったことから、後半株価が猛烈に相場を回復しても全く損失を取り返すことができずに1年の取引きを終えようとしていることがわかります。

それだけこの新型コロナに絡む相場暴落は過去にない激しいものであったことがわかります。

45日ルールから言えばすでに解約にともなうファンドのポジション整理は開始

11月末から12月末は比較的ヘッジファンドの決算が集まることになりますが、このタイミングで大口をはじめとする顧客の解約も集中することから、今年のファンドの解約がどのぐらい相場に影響を与えることになるのかにも注目が集まりつつあります。

解約が膨らめば当然のことながら利益が上がっている商品、銘柄からリカクして収益を確保していくことになりますので、米株でも大きく上昇した銘柄は逆にこの時期売り込まれやすくなるというリスクが発生します。

また、顧客かの解約のみならずファンドとしてやっていかれないところが閉鎖に追い込まれるケースも相当多そうで、この場合は手持ちの金融商品をすべて売却して清算することになりますので深刻です。

12月末決算のファンドでは45日前の11月15日には解約の通知が出ているはずで、ここからそれなりに粛々と売りがでる商品、銘柄がありそうで果たしてそれがどのぐらいの規模になるのかは売られてみないことには判らないのが実情です。

この時期、儲からなかったファンドマネージャーは必死で年末売買で利益を積み上げて首切りを回避する動きをとったりするもので、今年に関しては既に万事休すの状態に陥っている人も多そうで、年末相場が盛り上がらない可能性も考えておく必要がありそうです。