米国ではバイデン政権への移行をトランプが渋々認めたことから、具体的な事務作業がいよいよスタートしたということで、株価も大きく上昇する動きとなっていますが、この政権の発足には多くの共和党支持者から不満が高まっており、実は政権発足が完全に米国社会を分断のスタートにもなるのではないかといった危惧の念が高まっています。
一応選挙の決着はバイデン勝利となっているようで、トランプも7300万票以上を獲得してオバマの当選時の獲得票数をはるかに超える数字を確保していますから、今回の大統領選挙の結果に納得がいかない状態のまま新政権が発足することになりそうで、先が思いやられる状況となっています。
共和党支持者の半数が不正選挙勝利と認識する緊急事態
ロイターが直近で民間の調査会社と合同で行った米国民に対する意識調査の結果によりますと、共和党支持者の実に半数が今回の大統領選挙は不正選挙でバイデンが勝利を盗んだと認識していることが明らかになっています。
実に4000万人近い有権者が今も不正選挙であると思っているというのは尋常ではなく、ここから正式にトランプが敗北宣言を出すことになったとしても共和党支持者には相当鬱積したものが残ることになるのは大きな問題で、過激な支持者がデモや暴動を起こすことが非常に心配されるところです。
民主党側にも左傾化した過激な支持者が多いわけで、下手をすれば市街地で内戦のような状況が引き起こされる可能性もあるだけに、このボタンの掛け違いは一刻も早く解消される必要がでてきています。
左傾化した民主党の政策と保守層との親和性は全くないのも気がかり
現在の民主党は、従前からのクリントン系と言われる軍産複合体の一派とサンダースに象徴される左傾化したある種の社会主義を目指す一派が混然一体となって形成されているわけですが、副大統領のカマラハリスは上院でも左寄りの筆頭のような存在ですし、左翼グループと一定の政策を握ることで選挙協力を受けているバイデンはどうしても左寄りの政策を推し進めなくてはならない状況にあるのが実情です。
しかし、こうした社会福祉的色彩の強い政策はもともとの米国の保守層が抱く自余努力による生活の確立といった発想からはかなり遠いものであり、不正選挙のことを置いておいても親和性が低い状況です。
こちらも民主党政権との対立の火種になることは間違いなさそうで、トランプ退場でもとの米国に戻ると考えるのはいささか拙速なところにさしかかってきています。
新型コロナ対応のマスク着用の義務化ひとつとっても大反対の動きが顕在化
バイデン政権は発足直後に大統領令を出してマスク着用の義務化を定めようとしているようですが、米国内では既にこれに対しても反対の動きが強まっており、カマラハリスの選挙区であるカリフォルニアでは新型コロナ感染を抑えるために夜間外出禁止令が出されているにも関わらず、反バイデンの市民がマスクを燃やせといった過激な集会を開催するなど問題はすでに随所に現れており、感謝祭での旅行を控えるように衛生当局であるCDCが訴えても多くの国民がそれを無視して旅行に出かけるなど、新型コロナひとつとってみても国民が国の言うことをきかなくなり始めている点も非常に憂慮されるところです。
こうした米国内の分断が本格的に市民間の対立へと激化する様になれば、証券市場も実態経済を無視して株価が上昇しつづけるといったことはありえず、国全体としてかなり危険な状況に陥る可能性がありそうです。
米国内でこうした深刻な分断が起きることを中国などはむしろ期待しているといった見方も出てきていますから、この先の状況からは目が離せないものがあります。