米国ではいよいよファイザーの新型コロナワクチンが12月11日から接種開始という朗報が届いています。

米株市場は製薬会社の新型コロナ対策ワクチンの治験成果が非常に高いことをうけてコロナ早期終息を期待し、さらにポストコロナも織り込む動きをみせていますが、米国社会ではそう簡単にワクチンを受け入れないセンチメントが強く、個人の自由と感染の防止終息という大きな要件をどのように調整して折り合いをつけていくかが非常に大きな問題になりそうな状況になってきています。

Photo Reuters https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66541190T21C20A1000000/?n_cid=SNSTW005

米国内調査では国民の3分の2がワクチン強制接種に反対

ZeroHedgeが報じたところによりますと、米国では新型コロナのワクチンが完成して接種可能になっても強制ではなく、あくまで個人の判断で接種をすることが望ましいと思っている人が実に全人口の3分の2を超えており、公衆衛生の徹底よりも個人の意思を尊重すべきという動きが強まっていると言います。

これはさらに突っ込んで言えば、政府や製薬会社のことを最初から信頼していない国民が非常に多いことを案に示したもので、今回ワクチンの早期接種が始まったとしても医療従事者などへの配布が中心となり、初期段階から接種者が急激に増えることはないという悲観的な見方が広がっています。

民主党バイデン新大統領が打ち出すマスクの着用義務さえ猛烈な反対が顕在化

民主党バイデン新大統領は、新型コロナ対策として国民にマスクの着用を義務化しようとしているようですが、これにも反対の姿勢を示す国民は非常に多いようで、すでに夜間外出禁止が打ち出されているカリフォルニアではマスクを燃やせなどという市民の抗議イベントも開催されており、日本では当たり前のウイルス対策行為のマスク着用一つとってみても国内での周知徹底は一筋縄ではいかないことを示唆しています。

とくに今回大統領選挙で、トランプに投票した共和党支持者のうちの実に半数がバイデンが不正選挙で勝利を盗んだと思っていることがロイターの調査でも明らかになっており、バイデンの大統領令に従わないという動きも顕在化しています。

そもそもトランプに投票した国民は7300万人もおり、バイデンの得票率とは僅差の状況ですから、今回の選挙で分断は確実に進んでしまっており、それが新型コロナ対策にも非常に暗い影を差し始めていることがわかります。

結局ワクチンが完成してもすぐにコロナ終息とはならないか

本邦では菅政権の失政から、Go To Travelキャンペーンによる広域的な人の移動がどこまで変異したかわからないウイルスの感染拡大を招いてしまったようで、年末から年始にかけて恐らく止むに止まれず、非常事態宣言発言から事実上のロックダウンに追い込まれる危険性が極めて高くなっていますが、米国や欧州ではこうした問題とは別に個人の自由や権利といったものが思わぬコロナ対策の障壁となることに相当注意すべき状況になっているようです。

つまりここからワクチン完成だけでは簡単に終息しないリスクは高そうで、結果的に広範に国民に抗体がで気上がるまで簡単にウイルスの終息はなさそうで、さらに言えば経済との両立の問題も国別にかなり深刻なテーマになっていきそうです。

金融市場はすっかり楽観的な相場になりつつありますが、実はここからの感染拡大はさらに深刻なダメージを各国経済に与える可能性もありそうで、株価はポストコロナを見込んで上昇継続といかないことも意識しておく必要がありそうです。

これまで近代の金融市場ではパンデミックを経験していないだけに相場は常に想定外の反応をしていますが、どこかで実態景気の悪化にサヤ寄せする大きな下落に見舞われる危険性は相当残されているようです。