年明け、東京タイムから始まった新年相場はやはり予想通りの展開で大幅な調整からスタートしており、NYタイムでも米株は暴落ではないもののそれなりの値幅のある下落からスタートするという相場展開になっています。

日米ともに年末までにかなりの上昇となったわけで、どこかで調整がやってくるのは当然の成り行きであり、センチメントが変わりやすい年初1日目からそれが出始めているというのはそれほど驚くべきものではありません。

後付けで相場状況を解説しなくてはならない業界関係者は様々な理由をつけてこの動きを説明していますが、冷静に見ると相場は何かをきっかけにして下落しようとしていただけにも見えてくる状況です。

そんな中で新型コロナの影響でロックダウンが始まることになると、明確に嫌気されて当該通貨の売りが出る動きが顕在化しています。

それが東京タイムのドル円の売りとロンドンタイムのポンド売りの状況です。

ドル円は102円台に再突入

ドル円1時間足推移

ドル円は12月末に一旦102円台に突っ込む動きとなりましたが、年明けは東京タイムでまず日本の非常事態宣言発令を受けて102円台へと下落し、一旦は戻りを試す動きを見せました。

その後ロンドン勢が参入してからは、再度102円台の深堀を行い夜6時頃に102.713円台まで押し込む動きとなっています。

ただ、リスクオフの状況は円買いとともにドル買いも進むことから一旦103.300円台までショートカバー的な動きも見せましたが、依然として上値の重たい状況が続いています。

為替相場がネガティブな新型コロナ関連の情報で明確に動くというのは久々な印象を受けますが、やはりロックダウン的な国の動きを受けては神経質に反応することが確認できました。

ポンドも英国3度目のロックダウンを嫌気

ポンドドル1時間足推移

一方、英国も全国的に3度目のロックダウンを実施するとの報道が流れ、4日のNYタイムではポンドが激しく売られる展開となっています。

こちらもリスクオフとなればドルや円が明確に変われる動きを示しており、ロックダウンは経済を大きく冷やすこともあって、為替の反応はかなり敏感なものになっています。

これまで株価の動きだけ見ていますと、新型コロナの影響は非常に軽微でかつコロナウイルスが感染して流通するようになったことから、むしろコロナ後の世界を織り込みにいくような動きとなってきましたが、現実には変異したウイルスの大量感染が大きなリスクとなっており、感染を無視できない状況が強まっていることを明確に示唆していると言えます。

感染拡大はまだまだこれからが本番で相場への影響を注視すべき

市場参加者は昨年3月以降の相場の動きから、新型コロナの感染が直接的に相場に与える影響を軽視しすぎてきた嫌いがありますが、感染が拡大しとくにロックダウンのような形で景気に即座に影響するような措置がとられた場合には、リスクオフの動きを再燃することは相当意識しておく必要がありそうです。

今後株式市場にも同様の影響が及んだ場合には、いよいよ実態経済との乖離部分を埋め戻すような反転大幅下落の相場が示現する可能性も否定できず、株価の変動は為替にもより大きな影響を及ぼすことが予想されるだけにあらためて注意が必要な状況です。

日本では7日に正式に非常事態宣言が出されることになるようで、学校の休校やイベントの自粛などは織り込まれておらず、中途半端なロックダウン状態が感染を抑止できなかった場合には、さらに大きな影響が金融市場に出る可能性も高まり予断を許さない状況が続きそうです。

新型コロナの感染報道にすっかり飽きた国民は、自分だけは感染しないという正常化バイアスもかなり高まっているようで、この感染はこれからが本格化しそうで、こうした実態と国民の意識の乖離が大きな被害を及ぼすことにならないことを祈りたいところです。

いずれにしてもワクチン完成で即終息という楽観的な見通しはまったくワークしないことだけは常に強く認識すべき状況です。