今年の年末年始は土日に重なる形になったため意外に短いものとなり、本邦も海外も一斉に4日から相場が始まる形となっています。

したがって、本邦勢だけが休みの中で仕掛け的な売買がでることはほぼないと考えられ、年初の相場では年末までの動きから一転して反対方向に動くという、いわゆる相場のセンチメントが激変することがあることから非常に注意が必要になります。

昨年は年央のあたりから夏までは、必ずしも各通貨ペアもシーズナルサイクル通りの動きにはなりませんでしたが、年末にむけてかなりの通貨でシーズナルサイクルに沿った動きになったことから、年明けも同様のサイクルをトレースした動きがでるかどうかに注目が集まります。

株価は日米ともに1月調整に注意

為替相場にも相応の影響を与える株式市場の動きですが、昔は年明けから上層するパターンというものが顕著であった時期もありました。

過去20年、つまり21世紀に入ってからは年始に突然相場が調整することが多く、今年もこうした動きが示現するかどうかに注目があつまります。

米国のS&P500や日経平均を見ますと1月から2月にかけてはかなり調整しやすくなる時間帯で、昨年45%も上昇したNASDAQでさえ3月までの時期は大きくではないものの調整しやすいところにあることがわかります。

S&P500シーズナルサイクル
NASDAQシーズナルサイクル
日経平均シーズナルサイクル

各相場のサイクルと比較しますと日経平均は米株よりも調整しやすく、とくにこの時期に米株が思いのほか調整した場合にはさらに大きな調整になる可能性もあることを認識しておきたいところです。

為替もそれぞれの通貨ペアで特異な動き

為替の主要通貨でのシーズナルサイクルを見ていきますと次のようになります。

円の対ドルシーズナルサイクル

円の場合は全ての通貨に対して1月いっぱいぐらいまでは強含む、つまり円高に動く可能性が高く、過去20年での円高比率は想像以上に高いものになっています。

ユーロの対ドルシーズナルサイクル

一方ユーロは3月初めにかけて弱含む時間帯で円とは全く逆さまの動きをしています。

ポンドの対ドルシーズナルサイクル

さらに昨年BREXITでかなりお騒がせな動きとなったポンドは1月には結構乱高下し、2月に向けて強含んだあと下落に転じることが多くなるようです。

シーズナルサイクルは確率論的に利用していくことが望ましく、チャートと見ているだけでは認識できていない季節的な実需の需給などもこのチャートのなかにはビルトインされているわけで、常に実態とサイクルとに乖離があるのかどうかを見比べていくことが効果的な取引方法になりそうです。

米国の選挙関連の動きも注目

年明け早々の5日に行われるのが米上院選のジョージア州2議席を確定させる決選投票の実施で、この結果次第で米国上院議会の主導権を今まで通り共和党が握るのか民主党が取り返すのかが決定することになります。

直前の下馬評では民主党のジョン・オソフ氏およびラファエル・ウォーノック氏が若干優勢の模様で、ここで2議席民主党が確保すれば大統領から上下両院ともに民主党が確保するトリプルブルーが実現することになります。

この場合、民主党主導で大きな政府が実現することになりますから、一時的には株式市場がこれを好感し年明けから米株主体で相場が大きく上昇する可能性がでてくることになります。

ただし、バイデン政権は富裕層を含めて強力な増税の実施も考えていますし、米国IT企業への増税の問題も顕在化してくることになれば、むしろ株式市場はそれを嫌気して売りがかさむことも考えられ、民主党のこのトリプルブルー状態の実現は相当株価に影響を及ぼすことになりそうです。

1月6日の米国上下院合同議会にも一応注目

1月6日に行われるのが上下両院の議員を集めての昨年12月14日に選挙人によって投票された結果の開票ということになります。

毎回この開票はきわめて儀礼的なもので深刻に開票をチェックするなどということは行われてきませんでしたが、今回これが厳密に行われる可能性は残されており、無事通過することができるかどうかも注目しておきたいところです。

当然のことながら市場の想定外の事態となれば株にも為替にもネガティブな影響がでますので、日本時間では7日にかけて注意が必要です。

あらゆる金融市場はかなり楽観的な相場展開になっていますので、何か異なる動きがでた場合には急変動となる危険性があります。

年明けも十分に様子を見ながら取引を開始することが肝要になりそうです。