コロナ対策に200兆円の経済対策発表でも冷静な金融市場
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バイデン次期米国大統領が1月14日(日本時間では1月15日の朝9時15分)に新型コロナに対する1.9兆ドル、日本円にして200兆円という巨額の追加経済対策案を発表し、1日あたり1400ドルの現金支給を柱としながら大幅のバラまきを行うことを鮮明にしました。

上下両院議会では民主党が過半数をとるといういわゆるブルーウエイブが実現していますが、ちょうど半分半分という微妙な状況であり、なんでも議論なしで簡単に議会を通過できるわけではないことや、民主党系左派のサンダース以下の議員が今回の政権発足では悉く要職から外されているため党内からの批判も高まりを見せており、トランプを倒すことには成功してもこの先しっかりとした政権運営ができるのかどうかの試金石になる可能性も出てきています。

14日の東京タイムのドル円瞬間暴騰は投機筋の仕掛け売買か

1月14日の東京タイム、昼前にCNNがこの内容をリークする形で速報したことでドル円は大きく上昇し日経平均にもプラスに働く動きが出ましたが、さすがにNYタイムまでこうした動きは続かず一部の投機筋がこの報道を利用して株、為替、債券市場で仕掛け売買をしたのではないかという観測が高まっています。

逆にNY市場は至って冷静で、200兆円だからということで相場が大きく躍進するような動きは見せませんでした。

また、15日の発表段階ではすでに報道の事前リークでその内容が織り込まれていたことから、東京タイムでもこの発表で相場が動くことは全くみられず、肩透かしを食らったような状況になっています。

200兆円規模のバイデンプランはあくまで予定の話

確かに今回バイデンが発表した追加経済対策の額は日本の国家予算の2倍近くになり巨額であることは間違いありませんが、この金額はあくまでプランニング上の希望的数値であり、全てが実行に移されるかどうかはまだよくわからないこともあり、株式市場がすぐにこの材料に飛びついて上昇するといった動きにはなっていません。

そういう意味では米株市場は以外に慎重な姿勢を保っていることがわかります。

今回の対策の目玉となっている個人への支援金支給に関しては、年収7万5000ドル以下の世帯主がその対象となるためほぼ労働人口の54%が支給を受けられる見込みで、またこれがロビンフッダーのような個人投資家の投資原資として利用される可能性は高そうで、これこそが株価を大きく上昇させる絶好のツールになることが考えられます。

果たしてこうした資金の使われ方をするものが適切なコロナ対策なのかという疑問はありますが、春先に向けて相場が走り出す大きな原動力になることはどうやら間違いなさそうな状況になってきています。

経済対策の原資が赤字国債以外ないことも大きな懸念事項

こうした追加経済対策については大きな懸念事項も残ります。

米国は全くこうした対策に原資を持っておらず、すべては赤字国債の発行で賄うことになり、すでに米国全体の連邦債務は28兆ドルを超えるという巨額な状況でトランプ政権下でも国債発行しまくりで、さらにこれに上乗せするような国債発行はややもすれば市場への過剰な供給になる可能性も高く、債券格付けの低下などが起きた場合には売りが加速しさらに金利は上昇し価格はその分下がるという動きになり、さらに売りが積みあがる危険性もあり、債券市場全体の信用不安に繋がるリスクも高まることになります。

2008年のリーマンショック時も信用収縮から高リスクの債券が一斉に売られることとなり、それが株式市場にまで波及して大暴落の引き金を引いたことは記憶に新しいところで、さすがにこの問題だけでは直近ですぐに暴落が起きるとは思えませんが、債券市場関係者は少なからず心配しているのはどうやら事実のようです。

年初から2週間の投機的株式売買一旦終焉で日米株価は下落

株式相場は日米ともに年初から2週間ほど順調に値を伸ばす相場が展開しましたが、本邦では14日に日経平均が2万9000円すれすれまで上昇したあと大きな利益確定売りがでて相場は終息し、米株も一旦リカクによる相場の下落を見ています。

また、それにともなってリスクオフの動きが顕在化し、ドルは主要通貨に対して買われる流れとなっています。

月曜日が米国はキング牧師の記念日でお休みになり、そのための利益確定売りがでたという見方もありますが、例年投機筋の投機的な動きは年初から1月15日あたりで一旦落ち着くことが過去20年位の相場の動きでも確認されており、新大統領就任を前に週明けから一旦様子見の展開になることも予想されるところです。

マクロ系ファンドはすでに大量な利益確定を行っていることもありますので、1月後半についてはこれまでとは異なる動きが示現することにも注意が必要です。

今回のバイデンの追加経済対策プランの発表後の相場の動きを見ていますと、市場参加者すべてが楽観的な見通しを持っているわけではないことは明白で、想定外の動きがでることも意識したトレードが必要になりそうです。