米国上院議会は懸案となっていたバイデン政権の追加経済対策を6日付けで可決し1兆9000億ドル、日本円にして210兆円あまりの対策が実施される運びとなりました。
この政策の中で注目されるのは追加の給付金の支給で、昨年12月にトランプ政権下で約9千億ドルの追加経済対策を決めたものにさらに上乗せを行うことになります。
今回の対策は、12月の国民1人当たり600ドルの給付金に、さらに1400ドルを追加するものでもちろん所得制限は前回支給よりもそのハードルが厳しくなっていますが、標準的な収入の4人家族で5600ドルの給付となりますので、かなりの額が各世帯に今月中に小切手の形で配布されることになります。
このほか、9月まで失業保険を週300ドル上乗せする措置や子育て世帯向け減税の拡充、ワクチン普及の加速化、学校再開に向けた対策なども盛り込んでいるのが政策の特徴となります。
昨年5月、はじめて給付金が支給された時には多くの個人投資家がそれを原資にしてロビンフッドで株の売買をはじめており、かなりの大きさの投資となったことは記憶に新しいところですが、今回もそうした投資の追加原資になる可能性は極めて高そうで、ここからの株式市場や仮想通貨市場はさらに活況を呈することが予想されはじめています。
ほとんどの原資は赤字国債で本当に順当に発行できるのかが問題
ただ、これで金融市場は株式を中心に万々歳かというと必ずしもそうではない大きな問題が残ります。
それはこの追加経済対策を実施するための原資となる資金を赤字国債の大量発行に依存することで、一部は既存の予備費から捻出するようですが、それ以外のほとんどの部分が新規の赤字国債の発行で賄わなくてはならないという大きな問題が生じることになります。
そうでなくても直近の米債の入札は必ずしも順調ではなく、とくに金利が上昇してからは価格が低下していますから、新規の購入者にとっては問題はないでしょうが既存のホルダーが売りに廻る可能性がかなり高いです。
これが足かせになってうまく赤字国債を発行できないということになるとバイデン政権にとってはかなり大きなリスクとなることは間違いありません。
今のところ一気に国債発行とはならず順次増額していくことになるのでしょうが、200兆円といえば日本の年間の国家予算の2倍近い金額です。
すでに連邦債務は28兆ドル以上あると言われていますから、この借金の積み増しは明らかに大きくなりすぎている状況で、民主党の大きな政府による政策というのはなにかと問題を抱えることになりそうです。
個人に対する給付金の支給はかなり早く始まるようですので、とりあえずその支給が行きわたったところで株式市場にどのような変化が現れることになるのかに注目していきたいところです。
4人家族で60万ほどの金額になるとすればすべてを株式投資に回さなくても相当な原資の増加が見込めることになり、また特定株価が大きく上昇する可能性は十分にありそうな状況です。
暴落の恐れを知らない個人投資家が市場に大量参入して相場を荒らしまくるというのは決していいことではありませんし、バブルの末期にみられる兆候であるだけに非常に気になるものがありますが、当面米株市場は再上昇することを意識しながらトレードしてくことが重要になりそうです。
新型コロナバブルはまだまだ続きそうな状況になってきました。