3月第一週の為替相場は米国10年債の金利が急激に上昇したことからドルが主要通貨で軒並み上昇することとなりました。

とくにドル円は短時間で大幅に上昇する相場となり3月5日の雇用統計発表直後は108.6円を超えるところまで上値を伸ばす展開となっています。

さすがに週末ということもありそれ以降はさらに上伸することはなかったものの週明けの相場では米10年債金利次第でさらに上昇する可能性もありそうな展開となっています。

3月に入ってから株も債券も市場は突然荒れまくる展開となっているだけにここからの相場の動きはかなり注視していくことが求められそうで為替の取引も株や債券の市場を相当よくチェックしていくことが必要になってきています。

米10年債金利上昇は相場の催促か

この米国10年債金利は3月4日にウォールストリートジャーナル主催のwebセミナーにパウエルFRB議長が登場し最近の債券利回りの急上昇について「顕著であり、私の注意を引くものだった」と指摘しました。

「われわれの目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」と語ったものの、イールドカーブコントロールの実施など積極的に金利を下げる施策にまで言及しなかったことからこのセミナー直後からさらに金利上昇を招く結果となっています。

3月5日の米10年債利回り推移

これは見方を変えると市場が金利低下に向けて具体的な政策を早期に実施することを催促しているとも見え、債券金利上昇と株価の下落はまだここから先も続くことも十分に考えられる状況となってきています。

パウエル議長は2018年に量的緩和を一旦終息させる出口戦略に向かおうとしたときにも市場から猛烈な反発の相場下落の洗礼を受けており、必ずしも市場との対話がうまくできる存在ではないことを露呈しました。

今回もどうやらそれに近い状況となっており、週末ハイテク株を中心に大きく買い戻しが進んだ米株相場がここから単純に再上昇の過程に戻ることになるのかどうかも非常に気になるところとなってきています。

米10年債2%到達ならばドル円は110円超も

米10年債金利の上昇はかなり広範囲の金融商品や市場に影響を与え始めており、新興国市場からの資金の撤退や資本市場間のリバランスが進むことでより一層ドルに対する調達意欲が高まることも予想され始めており、なにかにつけてドル高が進行しやすい状況が継続することが想定されます。

足元のドル円はすでに米10年債利回りが1.6%を超えはじめているだけに市場の猛烈な催促相場が進み2%に到達するようなことになれば軽く110円を超えてくることも十分に考えられる状況となってきています。

ドル円4時間足推移

対ユーロでもドル高はかなり進みそうで昨年11月の1.06レベルへの接近も十分に考えられる状況が続きそうです。

ユーロはここまでかなり対ドルで上昇する動きを見せましたが今回の米債金利上昇で相場の状況は一転しはじめています。

3月11日にはECB理事会が予定されていますが、ここでラガルド総裁が金利上昇に関してどのような見解を示すのかについても注目が集まります。

ECB理事会において利回り上昇が正当化されないと判断された場合には、パンデミック緊急購入プログラムの拡大を通じて利回りの抑制が図られる可能性あり、対ドルではユーロが一層下落する場面も考えられるだけに今回のECB理事会はかなり重要なものになりそうです。

ユーロドル4時間足推移

イエレン財務長官はこの金利上昇をインフレ懸念ではなく景気の早期回復期待から起きているものであるとしきりに説明していますが、さすがに10年債利回りが2%に接近するようなことになれば悠長なことは言っていられなくなるのは時間の問題です。

3月のFOMC開催までブラックアウト期間となりFRBメンバーがメディアなどで発言できなくなる週明けからの時間帯に金利がどこまで上昇して催促が進むのかが非常に注目される状況となってきています。

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シーズナルサイクル的には普通にしていてもこの時期、ドルは3月末までは上昇をキープしやすくなっていますのでどこまでこの上昇相場についていくかを見当すべき時間帯になっていることがわかります。