Photo https://wedge.ismedia.jp/articles/-/24029

トヨタ自動車は8月19日に9月の世界生産台数が計画より36万台減って54万台程度になるとの見通しを明らかにしました。

しかしこのヘッドラインが駆け巡った19日の午後2時すぎから日経平均は大きく売り込まれ下落、為替もほぼシンクロするかのように110.198円レベルだったドル円が同日の夕方6時過ぎまで売り込まれて瞬間的に109.500円を割り込むといった異例の展開になりました。

9月単月とはいえ日本の主力輸出産業の最大企業であるトヨタが4割減産を打ち出したことはかなり大きなインパクトとなり、国内の自動車メーカー各社も同様に売込まれる事態となりました。

トヨタは2021年度の生産目標930万台はすでにリスク織り込み済みのため変更はしないとしていますが、コロナと半導体供給の状況次第ではまだどうなるか判らず、ここからの日経平均やTOPIXの動きには相当な注意が必要になりそうです。

4月以降上昇が持続できない日経平均は結局年初来安値

日経平均は3月に高値をつけてからは非常に不安定な動きに転じており、7月辺りからの相場は5日移動平均線がだんだんと下落方向に傾き始めています。

海外勢が買い向かわなくなったことが最大の原因で、空売り比率が40%近くを彷徨って下がらないことも大きな原因になっているようです。

大きく下げた時には買戻しが出るので相場は戻りますが、買い意欲が非常に低いところからまた売りが広げて下げるという繰り返しを続けてきたのがここ2か月の動きです。

ただ、今回のトヨタの報道をきっかけとしてさらに相場が下がる可能性があり、足もとの状況が一過性のものと考えるのは相当危険でしょう。

いよいよ9月は半期決算ですが、このまま行くと日経平均もTOPIXも相当下値を模索する展開になりそうです。

Data Tradingview

為替のドル円は久々に厳しい影響を受ける羽目に

この日経平均の劇的な動きにドル円も大きく反応し、それまで19日には瞬間的に110.260円まで買いあがったドル円はその後110円台をキープするかと思われましたが、その後さらに上攻めしようとするのかと思った瞬間にトヨタの9月大幅減産のニュースが流れました。

それからは109.800円辺りで一旦止まり戻りを試しましたが109.900円が最高で、その後さらに下落が始まりロンドン勢も加担する形で延々とドル円は滝の流れのような相場を続けました。

恐らく下落のたびロングのストップがついてさらに下落が加速する状況になったのでしょう。

午後6時すぎに109.500円を割れて485レベルでようやく止まり、NYタイムでは109.830円レベルまで戻しましたが、日本個人投資家の損切しないロングがまだ109.900円レベルから上に多く残っているらしく、20日の相場でも東京タイムのみならずNYタイムですら110円へは復帰できないままとなりました。

なぜ外人勢はここまで日経平均を買わないのか

日本株の低迷に関しては様々な憶測が飛び交っていますが、日銀が相場の下落があっても積極的にETFを買わなくなったことや、外人投資家勢が空売りに向かっていることが相場のパッとしない大きな理由と考えられています。

なぜここまで日本株が人気を失ったのか正確な理由は判りませんが、コロナの対策もうまくいっておらず、五輪は閉会したものの市場にとっては何も響くものがないことがこの低迷を生んでいることと関係がありそうです。

テクニカル的に見ると年初来安値を抜いていく勢いの日経平均相場は9月末の半期決済にむけてさらに下落する危険性を伴っていることが分かります。

2万5000円を割るところまで下げ進むのかどうか分かりませんが、少なくとも上昇相場はしばらく見れないでしょう。

日本株だけがこれだけ弱くなる理由ははっきりしませんが、国内の株式関係者が言う日本株の割安感はほとんど意味を持っていないでしょう。