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RBNZ・ニュージーランド中央銀行は18日政策金利を据え置く措置をとりました。

当初不動産価格の高騰から今月0.25%の利上げが市場で広く織り込まれていただけに、その発表を受けてNZドル円は急落し75.23円と2月以来の安値をつけました。

これはニュージーランド政府が、1人のデルタ株感染者が発生したため17日深夜に全国的なロックダウンを実施した影響を受けたものです。

ニュージーランドのロックダウンは学校が休校となり飲食店の営業は禁止され、食料品の購入のための外出だけは認められるという、日本とは全く異なる徹底ぶりです。

今回17日に感染が分かったのは58歳の男性の一例だけで、彼は14日に症状が出た後16日に医者にかかり検査を受けました。

ワクチンは未接種で国内旅行をしており、国外との繋がりがあったかは不明ですがデルタ株感染が判明したことからアーダーン首相は全土で3日間、オークランドでは1週間のロックダウンを実施しています。

この唐突な決定にNZランドドルはRBNZの政策会合の結果を待たずに大きく下落してしまいましたが、その後は利上げ期待から多少は上昇するといった動きになっていきました。

RBNZは即座に利上げを延期で対応

中央銀行の総裁や議長は政策発動のためならば嘘をついても構わないといった話は市場に浸透していて、今回のRBNZの様にあらかじめ利上げを検討していても、新型コロナ感染という重大な状況変化を受けて実施しないというやり口は批判の対象にはならず、決して珍しいものではありません。

ただ事前の示唆を信用してトレードする個人投資家などにとってはあまり良くなく、必ずしも納得できないものがあるのもまた事実です。

こうした政策決定では事前に織り込みすぎると発表で逆に売られてしまう、いわゆる噂で買って事実売り、という可能性もあるので中銀だけを悪く言うのは良くないと思いますが、幸いにも下がった相場は一旦戻ったので大きな実害はあまりなかったと思われます。

今回の件で個人投資家が気をつけなくてはならないのは、政策決定は人が判断しており発表されるまではどうなるか判らないので、断定してしまうトレードをしてしまうと思わぬ損害を被ることがある可能性です。

10月以降利上げを示唆しているためまたNZドルは上昇か

今回の声明では現行のレベル4のロックダウン措置と公衆衛生面の不透明感を考慮し、今会合でのOCR据え置きで合意しましたが、住宅価格の高騰は引き続きかなり激しく10月以降に改めて利上げを検討することも考えており、落ち着いたところでまたNZドルが対円、対ドルで上昇することは想定しておく必要がありそうです。

ただ年内2回の利上げになるかどうかは怪しくなってきているので、あまり入れ込み過ぎないトレードを進めていくことが重要です。

しかし国のロックダウンがここまで鮮明に中央銀行の政策決定を延期させることになったのはレアケースであり、新型コロナに対する国の政策が中銀の政策決定にも大きな影響を与えていることを改めて実感します。

日本国内では新型コロナ対策自体が政治的に利用されてしまっている印象を受けますが、ニュージーランド政府の驚くほど機敏な対応を見てみると、本来はそういったやり方が正しくないことを強く感じさせられます。

夏枯れ相場で市場は材料を探しまくる動きをしているだけに、1つ何か新しい材料が出始めるとその1つに群がって動く傾向が強くなります。

ここからは新型コロナ、特にデルタ株の感染対応で各国政府が打ち出す政策が、直接的に相場に影響を及ぼす可能性を視野に入れながらトレードしていくことが重要になるでしょう。