米株市場はここへ来て年初来高値を更新するなどまさかの史上最高値狙いさえでそうな勢いですが、日経平均のほうは大きな下げもない代わりに2013年のようにぐんぐん上値を試しに行くような地合いではまったくなく、相場の様相がかなり変化していることを感じます。
為替に取り組むトレーダーは株が上がらないからドル円も上がらないといいますが、株のクラスタからみますとドル円が上がらないから株が上がらないといわれており、卵と鶏とどちらが先かといった話が毎回巻き起こるわけですが、為替のことを置いておいてもやはり日本株はここからもなかなか上昇しない可能性がかなり強く漂いはじめています。

日銀の人工値付け相場を嫌気する外人勢

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2013年、アベノミクススタートで4月からは日銀の量的金融緩和が始まった年は外資系ファンドが一斉に日本株市場に資金を投入し実に年間15兆円もの日本株の買いに走りました。当時はドル円もドル高方向に動きましたからヘッジの意味で為替も同時に買うこととなったことから株価と為替は連動して上昇を示現する相場になったわけです。
しかし2018年はその外人勢が年間で5兆8000億円もの売り越しをしており、本邦株式市場に資金を入れて買い向かう勢力には全くなっていないことが足元の相場の停滞感を招いているのはどうやら間違いなさそうな状況です。

それではなぜここまで外人勢が買わなくなったのかということが問題になりますが、ひとえに日銀が妙に買い支えてダイナミズムを失ってしまった今の相場を非常に嫌気していることが大きな原因となっているようです。

大きな下げがあるからこそ上昇の原動力になるのが相場

確かに絶対下落しない相場というのはある意味安心してエントリーできるものですが、株式市場はとくに一定のサイクルで循環するのが基本ですから何が起きても絶対下げさせない相場というのは上下の振幅幅を失うことになり非常に面白味のない相場展開をもたらす点が投機筋にとっては面白くない存在のようです。

また中央銀行が買い支えるといっても何か特別なことがあれば簡単にギブアップすることも予想されるだけに日銀に依存しきるという投資にリスクを感じる向きは少なからず存在するようです。
為替の話ではありませんが、2015年1月15日にスイス国立銀行(中央銀行)が対ユーロで永続的に1.2を超えたら売り介入をすると宣言していたものを資金が持たないという単純な理由でいとも簡単にギブアップしたことは記憶に新しいものがあり、中央銀行といえども未来永劫とか絶対という言葉が存在しないことを投機筋はよく理解していることがわかります。
また相場が自律的に下げては上げ戻すような相場の場合価格で調整を行うことから比較的早く動き出すものですが、下値を徹底的に抑え込んでしまいますと結局のところ日柄調整のみに頼ることになるため、相場が膠着状態に陥るのも面白いもののなさを増幅することになってしまっています。

米国も似たような状態に近づきつつある

しかしこうした人工値付け相場はなにも日本に限ったことではなく、米国でも中央銀行は直接的にはETF買いで株価を支えているわけではありませんがPPTと呼ばれる大統領直属の株価暴落阻止チームが暗躍して相場を持ち上げる努力をしていることは間違いない状況です。しかし日本株だけが特に嫌気されているのはさすがに日銀の関与レベルが限界に近付いているからとの見方も強まっています。
いずれにしても足元のような膠着・日柄調整相場が長引きますと為替も本当に動かなくなりますので利益機会を探るのがかなり難しくなりそうで、当面は儲かる通貨ペアの選択や取引時間の選択についてさらに精査していくことが求められることになりそうです。