いよいよ史上初の10連休が迫ってきています。金融市場では本邦株式市場が6営業日も連続して休場となることから海外勢になにか仕掛けられることをひどく警戒しはじめていますが、為替も同様で正月3日の朝突然起こったドル円を中心としたフラッシュクラッシュの再来を心配する向きも多くなっています。しかしこうした相場の大幅下落はドル円やユーロドルといった主要通貨でなくても十分に起きる可能性が高く足元でもっとも心配しなくてはならないのはむしろトルコリラではないかという見方も強まっています。

トルコリラ円日足チャート

トルコリラには経済・政治に問題が山積

トルコはインフレが急激に進んでおり既に年率で20%近い物価上昇に苦しんでいる状況にあります。また対ドルではすでに2%以上下落するというかなり危ないレベルで推移しているのが現状です。そのため国民ですらトルコリラを売ってドルを買うなど資産の減少に対して自己防衛を行っていますが、本邦の個人投資家だけは高いスワップポイントだけに目がくらむ形でトルコリラ円をロングで延々と持ち続けることが非常に多く、とくにこうした長期の連休期間には狙われる可能性が高くなりそうです。

またトルコはエルドアン大統領の動きから米国との関係がかなり微妙になりつつあり、その代わりにロシアに接近していることも気になります。ロシアから購入したミサイルをNATOのレーダー網を利用して飛ばそうとしているわけですからEUからも問題視されており、米国は売却予定のF35の売り渡しも一旦止める動きに出ており、トルコがロシアから戦闘機を購入するといった事態に発展すればさらに摩擦が大きくなりそうな相当厳しい状況です。地政学的にはシリアと国境で接していますし常にクリティカルな情勢をかかえた国であるだけに米国やEUとの関係悪化はさらに経済に悪影響を及ぼしかねないのが現状です。

トルコリラ円はロング偏重を投機筋も熟知している

国内の個人投資家がスワップをもとめてトルコリラ円をロングにしており、しかもほとんどの投資家がストップロスを置かずに無防備に放置しているということを投機筋のかなりよく理解していますから、この長期の連休に狙われるとすれば単純にドル円ではなくトルコリラでなにかを仕掛けてくる可能性も十分に考えられます。とくにトルコリラは対ドルでも弱含んでいますから下押しするのはそう難しいことではなく店頭業者が設定している強制ロスカットをつければ一気に相場が走ることもわかっていますからここを狙ってくるリスクは相当考えておいたほうがよさそうです。今週25日の午前6時にポジションを保有していればかなり多くの店頭業者が11日分のスワップを付与してくれることから100万通貨トルコリラ円をもっていれば12万円程度のスワップポイントを獲得することもできるため特にロングが増えそうな状況です。今週中になんとか売り逃げしてスワップだけ獲得できればいいですが、週明けから大きく相場が下がった場合結局スワップと相殺してもプラスにならないリスクさえでてくることがかんがえられますからこれからポジションを作られる方は十分に注意が必要です。またリスクが高まりそうなのは週明けの4月29日、欧州の一部がお休みとなる5月1日のレイバーデー、そして5月の連休の最終日の6日がかなり危なそうですからポジションを調整するか証拠金を厚くするか、なんらかの対応が必要になりそうです。
正直なところ、何が起きるかわかりませんから休みの期間中ずっと相場を見ていられない方や自ら損切を設定することができない方は無理せずノーポジで休みを乗り切るのがやはり安全ではないでしょうか。とにかくこの10日間はさらに想定外のことが起きることありえますので十分にお気をつけいただきたいと思います。