5月13日からの一週間の為替市場は相変わらずトランプ大統領のツイートと発言に大きく振らされる展開となりました。どうも米中の貿易問題はそう簡単には決着がつかないことをかなり市場が理解しはじめてはいるものの楽観的な報道が出るたびにテキストをいち早く読み込むアルゴリズムの影響もあるのか相場は大きく戻すものの、真逆の悲観的報道でまた下押しするという上下動の繰り返しでドル円は売っても買っても投げの出やすい5日間となってしまいました。

ドル円4時間足推移

ドル円は20日の本邦GDP速報値に注目

そんな中で週明けの市場では20日に本邦のGDP速報値の発表が予定されています。もともと内閣府が出してくるGDPの算定方法自身に疑惑が高まっている状態ですが、それでもなお1~3月GDP速報値がマイナスになる確率は相当高く、年率べースでマイナス2%となった場合にはまたしても安倍政権は消費増税延期を打ち出す可能性が高まりそうです。

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麻生財務大臣は14日の参議院財政金融委員会において世界経済動向などリスクに対する注意は必要だが、日本経済のファンダメンタルズはしっかりしており、消費税率は10月に予定通り10%に引き上げさせていただきたいと語っており財務省サイドは悲願の消費税10%達成を実現してしまいたい意向がきわめて強いことが窺われますが、果たして政権内でこれが延期という形で調整されるのかどうかが注目されるところです。結果を受けてすぐに消費増税実施の可否を安倍首相が口にするかどうかはもちろんわかりませんが、一旦延期になれば円は売られやすくなるのは間違いなさそうで、実施を再確認すれば上値はかなり重くなりそうです。13日週の相場でドル円はある程度下値を試し切った感があり、決して上昇する地合いではないものの一定の戻りを試す可能性が出てきていますが、それに水を差すことになるのか助長することになるのかが注目されます。

日本国債の格付変更にも注意

1100兆円にものぼる財政赤字を抱えているこの国ですからまたしても増税を先送りした場合は、ほぼ凍結に近い印象があり、日本国債の格下げが一段と進むリスクを考えなくてはなりません。
2014年の12月にムーディーズが格下げを行ったのも増税延期が影響を与えたとされているわけですが、このケースでは12月1日にムーディーズが何の予告もなくいきなり日本の格付けを1ノッチ下げたことからまずはアルゴリズムが起動し、ドル円は一気に上昇することとなりました。しかし教科書どおりの動きはここまででその後、日経平均の先物が下落し始めると一転して売りが加速し、119.15円まで買い上がったドル円は118.700円まで急落を示現することになりました。
このように国債格下げならドル円円売りと判でついたような対応を考えると実はほかの要素も絡めて逆にドル円が円高に走ることもあるわけで、こうしたイベントを通過するのはきわめて難しい判断となりそうな状況です。
国債の格下げの話は消費税増税中止の直後には出ないものと思われますからこのタイムラグにも注意が必要です。

ユーロは欧州議会選挙結果次第

5月23日からは欧州議会選挙が開催されますが、EU加盟各国の選挙結果がどうなるかでユーロへの影響が大きくなりそうです。

ユーロドル4時間足

また10月まで離脱の決着を免れた英国でもこの議会選挙は実施されることとなりましたが、既存政党2党が悉く負けて新しいBREXIT党が躍進するような事態となれば改めて合意なきBREXITのリスクが顕在化することになり足元でも下げているポンドが一段下げに向かう可能性がありユーロ、ポンドとともにクロス円が大きく影響を受ける可能性も考えておく必要がありそうです。

ポンド円4時間足

既にポンド円は5月に入ってからかなり下げを続け明確な下落トレンドが出ていますが、それがさらに加速するリスクも考得ておく必要がではじめており注意が必要になります。