7月第一週、ドル円は月曜日こそG20を無事通過したことから大きく窓を開けて上昇しましたが、108円台中盤から上がかなり重たい状況で結局3日と持たずに窓を埋めて下げる動きとなりました。しかし下値もそれなりに堅い状況で値幅の狭い動きを継続し4日の米国独立記念日で休みの米国市場を通過し雇用統計待ちの状況が続きました。

金曜日に発表された6月米雇用統計は、米非農業部門雇用者数変化が22.4万人増と市場予想の16万人増を大きく上回りましたが、その一方で、同失業率は予想の3.6%に対し3.7%となり、同平均時給は前月比+0.2%と予想の+0.3%を下回る結果となりました。この内容を受けてドル円は大きく上昇し6月18日以来となる102.64円レベルまでつける形となりましたが、やはりかなり上値は重い状況が続き結局108.47円レベルで週の取引を終えています。

週明けはテクニカル的には一旦上をトライしそうではありますが、本邦の機関投資家の売りも並んでいるようで現状の材料だけで果たして上抜けできるかどうかがきになるところです。

相場の動きをみていますと109円にのせるのはかなり難しそうな雰囲気であり、レンジの横展開が続く可能性が高そうです。

ドル円4時間足

雇用統計の結果がよくて株価が下がるという不思議な状況

一方米株は雇用統計の数字がよかったことから月末のFOMCでの利上げが逆に遠のくのではないかという思惑で株価が下がる動きとなりました。本来経済指標がよくて株価が下げるというのはなんとも不思議な話ではありますが、それだけ株式市場は利下げが進むかどうかに大きく注目していることが改めて確認できた次第です。

Data CME

雇用統計発表後のCME・FedWatchを確認してみましたところ、さすがに7月末の0.5%(50bp)利下げ確率は4.9%に下落していますが、利下げそのものの確率は依然として100%の状態でFRBとしても市場の織り込み済みに反する様な動きができない状況になってきていることがわかります。

しかし冷静に考えてみた場合S&P500もNYダウも史上最高値を更新しているというのに本当に利下げが必要なのかという疑問は強いわけで、パウエル議長も株価を心配して金融政策を行っているということが完全に市場に見透かされたことから、ある意味FRBの政策はそれだけでかなり失敗なのではないかとさえ思う状況に陥ってしまっています。

7月に利下げを開始した場合、市場は株を下げることで催促をしてくることは間違いないことから8月相場が荒れる可能性は一段と高まっており、相場の先行きが心配されるところです。

ラガルド総裁誕生でユーロは売り込まれ欧州債金利は低下

一方2日にラガルド新ECB総裁指名の予定という発表が行われたことから市場はECBもさらに緩和的措置を進めていくことになるとの憶測を強めており、欧州圏の債券金利は軒並み低下、ユーロもドルに対して売られやすい展開になりつつあります。

ユーロドル4時間足

こうなると市場はドル高ではあるものの円高も一緒に示現しやすくユーロ円は下押しする可能性がでてくることになりドル円はクロス円の下落に引きずられることになるかどうかにも関心が集まりそうです。

10日、11日のパウエル議長の米国議会証言にも注目

Photo Bloomberg  https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-12-07/federal-reserve-officials-search-for-the-elusive-neutral-interest-rate

10日には米国下院でのパウエル議長の議会証言があり11日には上院でも開催されます。7月の利下げ期待が完全に織り込まれている中にあってパウエル議長がどのような発言をするかが注目されますが、今月の利下げが0.25%にとどまるとなった場合にはドルの買戻しがさらに進む可能性にも注意が必要です。

ただ、この議会証言ではあまり決定的な発言はしない可能性もあり、しかも発言内容は事前に議会に提出されるため証言前にマスメディアに公表された内容が開示されることからNYタイムの10時すぎには動きがでることにも注意が必要となりそうです。ちなみにFRBは5日段階でべいぎかいにパウエル議長証言のもととなる記入政策報告書の提出内容を公表しており経済成長の持続へ適切な行動をとると明記し、景気の下振れ懸念が拭えなければ、早期に利下げに踏み切る考えを強調しています。したがって今月がそのタイミングなのかどうかが大きな焦点になりそうで、相場はパウエル証言で動く可能性もでてきている状況です。