7月16日の東京市場ではポンドが主要通貨に対して軒並み下落する動きをみせており、ロンドンタイムに入ってからはさらに対円で134円を割り込むというかなりのスピードでの下落を示現しています。材料は明確でボリスジョンソンをはじめとするEU離脱強硬派が次期政権を担うことが明確になってきていることを市場が嫌気した結果がここまでの下落に結びついているといえます。ポンド円は5月に146円台だったところから一貫して下落を続けており、すでに12円以上の下落幅ですからその勢いはかなりのものであることがわかります。
先行き不透明感は先進国中ではもっとも高い英国
とにかく5月末に辞任を余儀なくされたメイ首相以降ボリスジョンソンの支持率が非常高いことから10月のEU離脱はもはや確定的なのではないかといった悲観論が頭をもたげてきていることもまた事実ですし、2年余りのBREXIT騒動の結果景気もかなり悪化し始めていることからイングランド銀行が利下げに動くのではないかと強い見方が広がっていることもポンドを押し下げる大きな要因になっているようです。ただ、一方でポンド売りがあまりにも多くなっていることから、これ以上下がらない局面では一気にショートカバーがでるリスクも高まっており、ここからは迂闊に下げについていかれないというのが実情です。市場ではBREXITの問題はいささか飽きが来た感がありますが、7月末のFOMCまでこれといった大きなテーマが存在しなくなったなかで市場参加者が積極的にポンド売りをしていることが足元の状況を生み出している可能性もありそうで、どこまで下押すのかに注目が集まります。
時間のない中でどういうBREXITになるのかが大きな問題
英国民が選択しているわけですからボリスジョンソンが首相に就任するのは致し方ない状況といえますが、問題は2年以上かけてもまともに離脱の準備ができなかったものを7月中にボリスジョンソンの指名で、夏休みを挟みあっという間に10月を迎えるときに何か適切な手立てをもってEUと対峙できるのかどうかという部分がかなり大きな問題になりそうです。やり方次第ではスコットランドの独立問題に発展することも考えられますし、英国経済はさらに厳しい状況に追い込まれるリスクも高まるなかで、メイ首相とボリスジョンソンの一体どこに違いが見いだされることになるのかは非常に関心の高い部分になってきているようです。それにしてもなぜここまでボリスジョンソンに支持が集まるのかという点ももう一つよくわからないところがあり、確かに離脱まで突き進んだとしてもその先にとてつもない試練が待ち受けることになるのはだれが考えても容易に想像できる姿です。年末のポンドの価格が一体どのレベルで推移することになるのかは多くのFX投資家の興味の中心になってきているようです。