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23日大方の市場の予測どおりに英国ではボリスジョンソン政権が誕生しました。EUからの離脱を決める国民投票の前にはえらくEU離脱を煽ったボリスジョンソンでしたが、キャメロン辞任後は後継政権から逃げ出す始末でなんとも不思議な存在となっていたわけですが、とうとうBREXITの最終局面に首相として登場して決着をつけることになったわけです。国内ではボリスジョンソンは2012年のロンドンオリンピックの際に市長を務めていたことからそれなりに知名度は高かったものの、変わった風貌とエキセントリックな発言だけが注目されており、どういう人物なのかということはいまひとつ理解されずにここまで来ている状況ですが、その経歴をたどりますとなかなかユニークな存在であることがわかります。

米英の二重国籍を保有する首相

ボリスジョンソンは1964年生まれで当年とって55才、生まれは米国ニューヨークで米国と英国の二重国籍を保有するというなかなか特別な存在です。英国の首相で米国籍も保有しているというのはボリスジョンソンがはじめてではないかと思われます。しかし学歴は英国でオックスフォード大学を卒業後一旦コンサルティング会社に就職するものの一週間で退社、その後保守系の主要紙であるタイムズ紙で働くもの書いた記事が問題となって即解雇、さらにその後デイリーテレグラフの記者となりEC特派員となってブリュッセルに赴任していますが、このころから反EC色が強かったようでEC嫌いが始まったのもこの時期のようです。1994年には政治コラムニストとして活躍しはじめ政治家にかなり近い方向へと歩みだすことになります。2001年から庶民院議員に当選しいよいよ本格的に政界進出することになります。結果2期務め2008年にはロンドン市長に就任、2012年にロンドンオリンピックにかかわったことから世界的にもその知名度を得るようになっています。その後また庶民院の議員に当選しますが2016年BREXITの問題が大きくなってからは外務大臣に就任していたものの、メイ首相のもとではさっさと辞任し様子見を決め込む形となっていましたが、とうとうメイ首相の辞任でいよいよ真打登場ということになったことがわかります。

ただBEXITの期限は目と鼻の先

7月24日に正式就任となるボリスジョンソン首相ですが、EUとの離脱の期限は10が多雨31日に迫っており、のんびり夏休みをとる英国議会のことを考えれば実質2か月しか残されていないことになります。現段階でなんらソリューションがセットできていないアイルランドとの国境の問題も今さら新しい方法を模索する時間などは全く残されておらず、英国内の議会と折り合いをつけるのかEUからさらに譲歩を引き出すのか、着の身着のままで離脱となるNo Deal BREXITに突っ込むことになるのか選択肢はそう多く用意されていないのが実情です。

またこれまでのBREXITをめぐるドタバタ劇で経済はすでにかなり疲弊していますし、もう現実にリセッションに陥っているのではないかといった厳しい指摘も出始めています。こうなると為替の側面から考えれば一旦戻りを試したとしてもポンドはまた下落に直面するリスクが相当高そうで、しかもこれまでにない想定外の事態に陥った場合には相当な下落を余儀なくされることだけは意識しておく必要がありそうな時間帯に入り込んでいます。英国民自体はかなり楽観的なようですが、こればかりは実際に起きてみないとよくわからないところが随所に隠されており、油断は禁物です。為替市場はあまりにも一方向にバイアスがかかり過ぎますと必ずしもその方向には動かないという難しい部分もありますが、今年後半のポンドはこれまで以上に十分な注意が必要になりそうです。