いよいよ始まった米中の制裁関税合戦~しかし市場はその影響を正確に織り込めていない
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米国トランプ政権はとうとう中国製品に対する制裁関税の第四弾を9月1日に発動してしまいました。これにより米国の対中国に限った平均関税率は貿易戦争が始まるまで約3%だったが、対立激化で段階的に上昇し、1日からは21%超に跳ね上がり10月1日以降はさらにそのレートが高くなる見込みとなっています。一方中国も即日制裁関税を適用していますから米中双方ともに平均20%以上の関税をかけあう状況に陥ってしまったことがわかります。

関税で貿易を阻止するというのはすでに1930年代からやっていてその結果が分かっているだけにこのエスカレートぶりはデメリット以外なにも生み出さないように思われるわけですが、いよいよ両国をはじめとして中間財の輸出を行っているアジア諸国への影響も測り知れない状況になるのは間違いない状況で、景気の悪化と株価の下落が現実のものになろうとしています。

関税分の価格転嫁は免れない状況

米国の報復関税はさらに10月から5%程度上乗せされる見込みですから企業は自らの製造コストの中で吸収できるような価格てはなくなっており、最終消費財への価格転嫁はもはや免れない状況です。当然企業の売り上げや収益にも影響を与える問題ですからFRBによる利下げ云々で上昇した米株は確実に悪い方向に向かうことになりそうですが、これまで市場ではトランプの楽観発言が出るたびに米中の協議が早期に再開され、あくまで追加関税は脅しであると想定していた気配濃厚で実際の発動によるネガティブインパクトを正確に織り込んでいない気配濃厚で秋の米株にはかなり大きな影響がこれから出てくることが予想されます。本来は10月末のハロウィン以降に年末まで株価が上昇するというのがひとつのアノマリーになってきたわけですが、今年に関しては必ずしもそうはならないリスクが高まりつつあります。

仮に9月のFOMCでさらなる利下げが実施されたとしてもそれを好感するだけで米株が上昇するとは俄かには思えない状況がかなり高まりを見せてきていることがわかります。

人民元の対ドル下落も深刻なものに

8月に入ってから中国人民元の対ドルレートは中国人民銀行の設定でも徐々に元安の方向に進みつつあり、オフショアの人民元レートさらに元安に向かおうとしています。中国人民銀行は依然として元は自らのコントロール下にあることを強調していますが対ドルで7.3以上の元安が進行することになればアジア周辺各国への影響はかなり大きなものになり一部の国が通貨危機に陥るリスクはかなり高まることになりそうで為替という視点ではこの人民元の動きを相当注視する必要がでてきているといえます。

トランプ大統領は強くドル安を志向しているわけですが、通貨の領域でも先行きが

見えない状態で1900年代ならとっくの昔に戦争になっていても決しておかしくはないかなり険悪な状況に陥り始めています。

この秋米株の大きな下落要因となる可能性も

この9月15日で、あのリーマンショックから実に丸11年の歳月が経過しようとしています。米国はすでに120か月もの景気拡大を実現しており、普通ならばどうみてもどこかで株価が大幅調整してもおかしくはないわけですが、たわむことを全く許さない中央銀行バブルはかなりおかしなところへ向かっており、少しでも株価に異変があれば全力で支えて価格の循環を一切許さないという特異な相場状況が続いています。しかしここへきて過去数年来市場をささえてきた米国企業の自社株買いもかなり減少しはじめていることから株価をもう一段押し上げる原動力はほとんどなくなりつつある点が非常に危惧されるところです。ここからすぐにリーマン級の相場大暴落が起こるとは俄かには思えませんが、それなりの下押しが示現しても決しておかしくはない時間帯にさしかかっており、今週はとくに注意が必要になりそうです。

2日、米国市場はレイバーデーということでこれが終わると夏休みシーズンも終了して本格的に市場に参加者が戻ってくることになるわけですが、休み明けの市場の動きがこの秋から年末に向けての相場の方向感を示唆する可能性がきわめて高いことから3日からの相場の動きはかなり注目されることになります。テクニカル的には相場が上方向に行く可能性も否定はできませんが、ファンダメンタルズ的に見ますと決して良好な相場とは言えず、むしろ下落方向のリスクを常に考えるべき時間帯となってきています。