9月、レイバーデーが終わると米国株式市場も夏休みを終えて市場参加者が本格的に戻り株式相場は改めて活況を呈し始める時期なのですが、本邦の株式市場はそれとは裏腹に取引が細る一方で、単に夏枯れで出来高が減っているというわけではなくなってきているようです。2013年あたりは外人勢の株買いから株の上昇とともにヘッジで購入したドル円が連動して大きな利益を得ることができた時期もありましたが、今やそういう動きはまったく見られず、状況はかなり厳しくなってきています。

市場ではいろいろな理由が独り歩きしているようですが、実際のところもっとも大きな原因となっているのが日銀の過度なETF買いであり、相場に循環的なボラティリティが全く示現しなくなってしまったことが外人投資家の買いを遠ざける理由になっていることが明確になりつつあります。

東証の出来高が8月後半もかなりひどい状況でしたが9月に入ってさらに激減し3日の東証一部売買代金は1兆3874億円にとどまり、前日に次ぐ今年2番目の低水準を維持するというまったく不名誉な記録を継続中です。前場のスタート時に米株の状況から多少は動くものの、動意があるのは午前中だけで後場になると動きはシュリンクし閑散に売りなしの状況が続き、大引け後に相場状況を語ろうにもなにも材料がない現象的な売買が延々と続く相場展開が続いています。

このまま消費税増税で本邦株価は下落の方向か

米欧の主要中央銀行はこの9月に景気後退を懸念してさらなる利下げや緩和措置に乗り出そうとしていますが、本邦では10月1日よりまさかの消費増税の実施が予定されており、これも外人投資家の嫌気を確実に誘っているようにみえます。

今をさかのぼること22年前の1997年4月、当時の橋本内閣は多少回復した景気を背景にして無理やり2%の消費増税を行い消費税は5%とし、並行して特別減税を廃止し健康保険の自己負担率引き上げてしまいます。しかしその結果は当たり前のように惨憺たる結果をもたらすことになったわけで、名目GDPは97年度521兆円だったものが翌年510兆円、さらに99年度は506兆円へと大きく減少の過程をたどることとなります。サラリーマンの平均年収も97年度の467万円をピークにほぼ

一貫して下降線をたどってこの流れは現在にまで継続した状況となっています。

この1997年消費増税の結果日本株はといいますとざっと高値から4割下落することになり、慌てた政府は40兆円にのぼる景気対策を実施しなんとかそのレベルで下落を押しとどめたという経緯があります。今の日本株の状況から考えればほぼ1年前の2018年10月につけた24,500円の6割ということで15,000円割れも視野に入る状況となってきているわけで、今回はそれほど大がかりな景気対策を安倍政権は考えていないわけですからもっと下を目指すリスクさえ想定しておかなくてはならない状況となっています。

外人のファンド勢は明らかにこの増税を嫌気していますから当分資金が本邦株式相場に流入する可能性は低そうで当分足元のウルトラ閑散相場が延々と続きそうな気配が強まっています。むしろこの間に米株が大きく崩れだすような事態に追い込まれれば10月を待たずに日本株も崩れだすリスクがありそうです。

日経平均の指数に関しては日銀やGPIFなどのPKO軍団が総出で下げさせない動きにでることが予想されますが、個別株は97年でも6割から8割下落したケースがあるだけにかなり厳しい展開が予想されます。

BREXIT終了まで相場を見守る動きも

外的要因として日本株が買われない大きな材料となっているのが10月末に迫る英国のBREXITで、現状では着の身着のままで離脱するNo Deal BREXITの可能性が一段と高まりつつあります。投資ファンド勢はやはりこの件の決着の仕方にも非常に神経質なようでとにかく結果がでる10月末までは積極的に外国株への投資を行わない姿勢のところが多いことも日本株への外人投資家の資金が入り込まない要因となっているようです。

こうなると果たして為替市場のほうはどうなるのかが気になるところですが、すくなくとも9月からドル円が上方向に上昇していく可能性は極めて低くなってきているようですし、企業の海外M&A案件も非常に少なくなってきていることから外債投資の金融機関のドル買いはでても全体にドル需要が強く相場に示現するかどうかはわからず、上述のように株価と連動でドル円が上昇するのを期待するのはかなり難しそうです。逆に長期の持ち合いゾーンである105円を明確に割れたことからドル円は年末に向けて100円方向を再度試しに行くことも十分想定される状況になってきています。

したがって例年のアノマリーからドル円の売買をしていくと相場の流れから大きく外れることも考えられますので、相当注意したトレードを行うことが必要になりそうです。今年の9月相場には確実に異変が起きているようです。