FRB、とうとう11月から隠れQEスタートか
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9月17日、折しもFOMCの開催中に突然始まった米ドル短期市場のレポ金利の上昇は一時的にせよFF金利の5倍近くなる10%に跳ね上がり市場関係者を慌てさせることとなりましたが、土日を挟んでNY連銀はOMO,Open Market Operationを5日連続で実施することになり、しかも10月10日まで継続してOMOを実施することを決定しています。

ドルの需給のひっ迫からレポ金利が上昇するということは決して珍しいことではありませんが、月末でもない9月の17日あたりに突然大きく金利が上昇するというのはかなり不思議な話で、リーマンショックの前を知る市場関係者には嫌な思い出が頭をよぎることとなっています。

2008年のレポ金利上昇が示唆する相場の危険信号

リーマンショック前後の相場の話というのはすでに11年も前のことになりウォール街でも相場を仕切るマネージャークラスはミレニアル世代もはやこの時の状況をまったく知らない若者たちで構成されているわけですから、怖いものなしの状況で恐ろしいことこの上ない状況ですが、この2008年3月にベアスターンズが突然破綻した直後も短期のレポ金利は大きく上昇することになります。

市場では米国債を担保に短期の貸付をしても資金が回収できるかどうかわからないという疑心暗鬼がおきてそれがこうした短期のレポ金利をFF金利以上の大きく跳ね上げることとなったわけですが、この2008年はその後もレポ金利が何度となく上昇することになり、しかもその頻度はリーマンブラザースが破綻する9月15日までかなりの回数にのぼりました。その間株価のほうは何事もなかったかのように上昇しましたが、リーマンの破綻直後レポ金利は当然のごとく跳ね上がることになり、市場ではまともに債券を担保に金を貸す向きがいなくなるという事態に追い込まれます。逆に資金供給者は一気に資金回収に動くことになり、これが結果的に担保資産の売りにつながり、あらゆる担保資産の価値が大きく下落したことだえ、さらに投げ売りへとつながる負の連鎖が展開することになります。つまりリーマンショックの暴落はサブプライムローンの返済不能とリーマンブラザースの破綻そのものよりもレポ市場から資金の貸し手が消滅し資金ぐりに苦しんだ市場参加者が手もちの資産の投げ売りに走ったことがもっとも相場を下落させる原因となっていることがいまさらながらに理解できる状況です。

FRBはいよいよ11月QEの実施か

10月にはFOMCが開催されますが、FRBとしてはなんらかの緩和措置を再開することで資金を市場に供給する必要が出てきている状況で、市場の予測ではOMOを既成事実化してPOMO Permanent open market operationsに持ち込もうとしているのではないかといった見方が徐々に広がりを見せ始めています。FRBとしてはQEという言葉は使いたくないもののそれと同じ効果のある緩和措置を実施したい意向のようで10月のFOMCは利下げもさることながらこうした緩和措置が登場するのかどうかに市場の関心が集まることになりそうです。これはトランプが求める緩和措置への一定の対策としても機能することからその実施の可能性はかなり高そうです。すでに予防措置として2回利下げを行ってきたFRBですが、ここから市場の要求に応えてさらに利下げをするという部分については大義名分との調整が必要になるでしょうしそうかといってこのタイミングに表立ってQE4をはじめますとは言えないことを考えるとPOMOの実施で事実上の隠れQEを実現するというのはそうとうありえそうな話になってきているということです。

いずれにしても相場の随所に異変がみられるのは確かな状況

POMOの実施となると実質的に隠れQEスタートということで相場は株式市場を中心にまた中央銀行主導のバブル相場が継続してしまう可能性も十分に考えられるわけですが、利下げのほうをFRBがどう処理するのかにも関心が集まります。つまり隠れQEの実施で利下げはとりあえず見送りとしたときに市場がすでに年末でさらに1回ないし2回織り込んでしまっている期待状況との乖離を埋めることがきるのかどうかという問題が顕在化してきそうです。今回レポ金利の上昇に端を発したPOMO実施の観測ですが、そもそもこの米ドル短期のレポ金利がこれだけ上昇した理由の正確なところは依然としてよくわからないわけで、レバレッジドローン市場からファンドの資金が撤退し始めている、CLO市場が危ないのではないか、ドイツ銀行の経営不安などリーマンショック後のここ10年市場に現れなかった不安要素が一気に噴出し始めている点が非常に気になるところです。なにかの前兆でないことを祈りたい気分ですが、ここからの相場には相当な注意を要する時間帯に入ってきているように思われます。