最近の為替相場を見ていますとニュースなどのヘッドラインに即座に反応するいわゆるアルゴリズム取引の短期利益追求型のファンドの動きが従来に増して激しいものになってきていることを強く感じます。今週も週初にドル円は大きくギャップダウンしてスタートしましたが、米中貿易協議で中国側が交渉の枠組みを限定していくのではないかという観測記事にアルゴリズムがいち早く反応して窓開けからスタートすることになったわけです。逆に同日のNYタイムに今度は米中で合意期待が高まるといった記事にもアルゴリズムは反応してストップを付けに行く動きが示現しドル円は一時107.465円まで大きく跳ね上がるという動きをしています。

しかしどちらの観測報道も一発だけの話でそれに続くものがありませんから、下落したものは徐々に戻り、上げたものは下落するという事実に迷惑な動きを継続させることになってしまいます。

2010年ごろからアルゴリズムによる高速取引というのはさかんに行われてきたわけえですが、最近はAI実装でニュースのヘッドラインのテキストを瞬時に読み取って瞬間的に売買につなげるアルゴリズムを使った短期ファンドの動きが非常に強まっていることを感じさせられます。

こうしたアルゴを多用した売買は為替のみならず株式市場でもかなり顕在化していることがわかりますが、果たしてこういう動きで本当に利益が出せているかという疑問は常につきまとうことになるわけです。

ニュースに飛びつき売買するアルゴリズムはまったく儲かっていない

しかしこのアルゴ取引でなかなか面白い話が飛び込んできているのはこうしたニュース連動の高速取引を行うファンドが全く儲かっておらず、今年その一部は破綻するのではないかという話です。ニュースのヘッドラインだけで一番に飛びついて

相場を買い上げるやり方はもっとも最速の取引をするもの以外は市場のセンチメントなどほとんど変わっておらず楽観的なネタが飛び出してもあとが続かないことから結局相場はもとに戻るという状況を繰り返しているだけでよくよく考えてみるとちっとも儲からないということになってしまうわけです。これは人が行う裁量取引でもだいたい見当のつく話ですが、やはりアルゴリズムにやらせても儲からないものは儲からないようで、この手の短期のファンド勢がかなり窮地に立たされていることがわかってきています。

ニュースが相場をつくるという錯覚

長く相場にかかわっている人たちがよく言う話ですが相場はニュースで動いているわけではなく相場が動いたことでニュースが後づけでついてくるというのはまんざら嘘ではなさそうです。

とくにニュースのヘッドラインに即反応して動くCTA系のアルゴの売買は、いくらAIを実装してもそもそもこの部分で間違いを冒しているわけですし、アルゴリズム同士の速さを競い合いのような状況になって結局多くのファンドがあ儲からない状況に陥るというのはなかなか興味深い話といえそうです。

逆に急に相場がはねたところは売ってみるとそれなりにとれることも多くなっており、為替市場は決してアルゴリズムが全知全能の動きをしているわけではないことがわかります。こうしたところに人が行う裁量取引成功のヒントが隠されているのかもしれません。