エリザベスウォーレンの影響がもろに出始めた金融市場
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米国大統領選挙まで1年ちょっとということになりましたが、ここへきてバーニーサンダースが高齢で病気であることから民主党の選挙戦から離脱が鮮明になり、その代わりに社会民主主義というかなり左寄りの思想を強くもつエリザベスウォーレン候補の存在が顕在化しつつあり、金融市場に早くも大きな影響がではじめており、年末にかけての相場にも相当注意が必要になってきているのです。

エリザベスウォーレンはどんな人なのか?

このエリザベスウォーレン女史は日本国内ではほとんど知名度のない人物ですが、ハーバード大学のロースクールの教授を経てマサチューセッツ州代表の上院議員として活動中で現在70歳ではありますが、かなりの才女であることを伺わせます。
ウォーレン議員はもともと相当な消費者保護論者であり、巨大資本や富裕層のもつ既得権益を大きく切り崩すことを掲げて現在人気上昇中の存在です。さらに彼女の主張で猛烈なのはフェイスブックやアマゾンなどのIT企業について市場を独占し、競争を無力化する存在として解体を主張していますし、当然のことながら富を独占するウォール街に対しても反旗を翻す存在であり、この反ビジネスという姿勢がいよいよ本格的に表面化しつつあることに経済界は非常に神経をとがらす状況になってきているのです。

CLOに大きな疑問を抱くウォーレン議員

反GAFA,反ウォール街を声高に口にして選挙戦を戦うだけなら大統領選に勝たない限り大きな影響は出ないと思われがちですが、ウォーレン氏は現在上院議員でありすでに政治活動を行っている中で具体的な問題を指摘するようになってきています。
その一つがCLOについてで、ウォーレン議員はレバレッジドローンの格付けに目を付け始めているという報道が米国市場を駆け巡り始めています。またこうした種王品をCLOとして販売することに全く規制をかけていないSECに対しても追及の矛先が向いており、格付けが大きく修正されるようなことになった場合この12月に向けてCLOを大量に保有するファンドは猛烈なSell Offに直面するリスクが高まるといった見方も強くなってきています。ウォーレン議員の主張は決して間違いではありませんが、金融市場にとってはかなりきびしい洗礼を受けることになることになりそうで、トランプ政権下で緩い動きをみせていたウォール街も相当な緊張状態へと変化しているようです。

現実にCLO市場は売りのリスクにさられれば大変なことに

もちろんCLO市場の問題はウォーレン議員が指摘していることではなく、こうしたリスクの高い商品をサブプライムローンが問題になったときと同じようにレバレッジドローンを細分化しては新しい商品であるかのように高い格付けで組成している金融業界のほうに問題があることは事実です。したがって今回のウォーレン議員の指摘がきっかけとなりもともと流動性の乏しいCLO市場で売りが加速した場合にはCLO市場が流動性枯渇パニックに襲われて大きく相場が下落し、その影響をうけて周辺のハイイールド債、つまりジャンク債市場も多大な影響を受ける可能性がでてきているということになります。CLO市場のリスクはウォーレン議員が指摘する前からその危険性が語られてきたわけですが、ちょうどこれがいいきっかけになって一気に相場の下落が進むことが危惧されるわけです。

CLOを大量保有している本邦金融機関の問題に発展か

このCLO市場のリスクですが、所詮海の向こうの米国市場の問題と考えていると大きな間違いで、実はCLO市場でもっとも債券を大量保有しているのが日本の金融機関であることを忘れてはなりません。とくに農林中金、ゆうちょ銀行、三菱UFJの各行は並外れたボリュームのCLOを保有している池の中のクジラ状態に陥っていますから、CLOの価格が崩れ始めて彼らが売りに回ればそれ自体が相場の大暴落の引き金を引きかねないだけに国内の金融業界が致命的な打撃を受けると指摘する向きも多く相当な注意が必要になってきています。国内市場ではあまり多くを語られない米国のCLO市場ですが、実は相当なリスクを抱えていることが改めて理解できる状況です。

BIS,国際決済銀行が発表している四半期報告書によればこのCLOの発行はローン市場での融資基準が急激に緩んできていることから大きく増加しており足元の市場規模はすでに推定で7500億ドルにまで達しているとされています。

これは2007年サブプライムローンを証券化して金融危機の引き金になったCDO・債務担保証券が6400億ドルであったことと比較してもかなり大きな金額に膨れ上がっていることがわかります。

またレバレッジドローン市場も1兆4000億ドルにまで膨らんでおり、こちらも低格付けローンが全体の18%とかなりリスクが高まりを見せている状況です。国内ではまともに金利のつく債券がないことから本邦の金融機関は挙ってCLO市場に参入してきたわけですが、投資適格のかなり高い格付けの商品を買っていてもその中身はかなりリスクの高い商品と混ぜ合わせてわからなくしているだけですからいざ格付けが下落しはじめてみると想像を絶する事態に陥る危険性は相当高そうで、ここから年末にむけてウォーレン議員の動向とともにCLO市場そのものも注視してい必要がありそうです。