11月も押しつまり、今月最後の一週間は米国が28日感謝祭になり米国相場は休場でその前から週末まで休暇をとる向きも増えることから、相場の流動性は著しく低下することが予想されます。
今年は相場の動きが乏しいことから、本邦の個人投資家もまだ11月中は活発な取引を続行したいと思う時期ではありますが、米国相場がお休みモードになることを考えると、あまり無理をしないほうがよさそうな一週間ということになりそうです。
既に先週でも動きがかなり限定的だったドル円
18日からの一週間を見ますと、ドル円は前週に比べても上下の変動幅は一段と狭くなっており、18日に109円台を回復して以来、二度と元に戻れないままの状態を延々と継続し、後半はすでに一日で30銭も動かないという投資家泣かせの相場を展開することとなりました。
上値では109円にある200日移動平均線が上値を阻み、下方向は108.250円にある11月14日の安値にも下落を阻まれるという、非常にやりにくい状況が続いています。
ファンダメンタルズからみますと、米中貿易協議の進展が怪しくなってきている上に、米国上下院が香港人権法案を可決し、トランプ大統領もサインせざるを得ない状況になっています。
このホリデーシーズン前に大統領が署名すれば、中国からの報復措置が飛び出すリスクは相当高くなりそうで、特に米国市場の休み中にそれが起きた場合には、かなり大きな動きが実現する可能性を考える必要がありそうです。
日本ではほとんど話題になりませんが、トランプ大統領の弾劾に関する公聴会もかなり進んできており、米国のメディアはこれ一色の状況でこちらもかなり大きなリスクになり始めています。
こうした状況から、何かことが起こるリスクオフからドル円は大きく売られることも想定しておく必要がありそうです。
ただニュースヘッドラインで、上下を繰り返すのはAI実装のアルゴリズムの動きになっており、ほとんどほかの市場参加者はそれについて行く動きをしていません。
跳ねても大きく売られても値をもとに戻すことが多い点にも注意が必要で、むしろ動かない相場の中では逆張りで微益をとるいい機会として利用できることも視野に入れておくべきでしょう。
ユーロドルも動きの鈍い展開
一方ユーロドルは、米中協議がかなり悲観的状況であるとする中国高官のニュースヘッドラインを受けて、ドルが売られたことから1.109レベルまで値を戻す展開にはなりましたが、積極的にユーロを買いあがる材料はほとんど見つからない状況です。
上値を止められる状況で、逆に28日前に北京でさらに米中協議開催といった観測報道もあって、値を落とす展開となり1.012レベルで週の取引を終えています。
ユーロは依然として主体的に買われるような状況にはないことから、あくまでドルの動きとの相対的関係で買い戻されたり売られたりする相場をまだまだ年末に向けて続けそうな状況です。
感謝祭ラリーは今年は期待できるか
この時期は年末に向けて、相場上昇を期待できる感謝祭ラリーといったものがよく聞かれますが、果たしてどうなるのかが注目されます。
過去10年の相場の実績をチェックしてみますと、ドル円は年末に向けての上昇は六勝四敗で若干高い確率、豪ドル円が七勝三敗、NZドル円が八勝二敗で、どうもNZドル円などに賭けてみるのが勝率がよさそうな状況です。
為替ではありませんが、日経平均はこの時期の上昇が八勝二敗と非常に高く、ドル円もこれにつられて上昇すればいいのですが、なかなか株価と為替が連動しなくなっていますので、あくまでアノマリーということで、注意深く見守りながらこのラリーに乗るかどうかを決めることが必要です。
米国株式市場は感謝祭前、既にかなり高く上昇してしまっていますので、ここからさらにどこまで上昇できるのかが大きな疑問点となっています。
中央銀行が過分な緩和措置を行っている結果として、きわめて人工的に株式相場が上昇しているのが実情ですから、過去の実績からアノマリーをベースに取引しても、現況は異なる可能性もあり断定的に買いで入るのだけは相当注意すべき状況といえます。
動かない相場の中で少しでも利益をとりたいのはやまやまですが、こういう時こそ慌てずにしっかり相場の動きがでてからついて行くことを心掛けたいところです。
この時期からクリスマスにかけては、相当市場参加者も減少することが予想されますので、流動性のない状況下で御思わぬ動きに巻き込まれないよう十分にご注意ください。