米国ではいよいよ来週後半に感謝祭を控え、相場は手じまいモードが高まっているように思われます。

米国内では、トランプ大統領の弾劾に関するヒアリングが実施されており、メディアも非常にこれに時間をとっているようです。

米中協議の行方も、香港人権法案が米国上下両院で可決されたことから、トランプ自身がこれにサインするのかどうか、また中国の反応がどうなるのかに注目が集まりすぎ、観測報道が飛び出すたびにアルゴリズムがいち早く動いて、相場は無闇な上下動を繰り返す状況に陥っています。

今のところまだ、決定的に市場参加者が減少しているということではありませんが、11月後半にかけてはもう相場は動かない方向に向かっている可能性が高まりそうです。

こうなるとその後のクリスマス相場が年末までやってくるのか、このまま大きな動きがないままに終わってしまうのかが気になるところですが、市場では富裕層の投資家の動きに変化が表れているという見方が強まりつつあり注目され始めています。

ウォーレンバフェットは14兆円の現金預金をホールド中

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投資というと、相場の最底値で株を買っては、大きな利益を獲得することで有名なウォーレンバフェットの存在を思いつきます。

このバフェットはアップルなどに投資して稼いでいるという報道が飛び交う一方で、現預金を日本円で14兆円も保有しており完全に株式市場から撤退モードにあることが話題となっています。

このバフェットは相場の暴落前のタイミングになると、2000年のITバブルのときも2008年のリーマンショックの時も必ず現金を確保して、焼け野原になった株式相場でひとり株を買って大きな利益を出すことで知られた存在です。

そのバフェットがここ10年で、最高にあたる現金預金をもって市場から退場して様子を見ているのですから、話は穏やかではありません。

恐らく長年の相場経験から、ファーストインファーストアウトですでに撤退して、様子を見ていることが強く窺われる状況といえます。

ウエルスマネジメントに資金を投入する富裕層にも同様の動きが顕在化

この相場からの撤退と現金保有という動きは、ウォーレンバフェットだけに限ったことではないようです。

富裕層の顧客を扱う海外銀行の投資銀行部門のウエルスマネジメントを利用する顧客も、相次いで資金の撤退と現金保有比率を高めているという話が出回り始めています。

やはりこちらの富裕層も、相場がかなりリスクの高い時間帯に入っていることを鋭く察知していて、こうした動きに出ているものと思われます。

バブル相場の最後というのは一番よく走ると言われており、特に株とコモディティはそういう傾向が強くなるわけですが、結局最後までバブルの上昇相場に付き合うと、一定の利益は確保できても相場から降りることができなくなります。

結果的に大きな損失を被って、それまでの利益を飛ばして退場する個人投資家が非常に多いのが実情となります。

富裕層の投資家はこうした事実をよく理解しているようで、バブル相場の最後には付き合わないという姿勢が強くみられるところが気になる状況です。

既にリーマンショックから11年と2か月以上暴落のない相場が続いているわけですが、すでにそろそろ危ないと考えている富裕層の投資家が多い点は、我々も十分に意識して取引する必要がありそうです。

相場の上昇タイミングに比べて、暴落のタイミングを正確に見抜く、言い当てるというのは至難の業でほぼ無理であると言われています。

富裕層は暴落でとることを考えるよりも、暴落後の草木も生えないところに登場して、おもむろに投資を再開することを考えているというのは非常に興味のある動きといえます。

これですぐに暴落相場がやってくるとは言えない状況ではありますが、すでに市場から退場して様子見をする向きが増えているという現実はよく認識しておかなくてはならないものといえそうです。