3月第一週、株式市場を中心に相場は大荒れの状況となりました。

前週大きく下げた米株は3日にFRBが電撃的に0.5%の利下げを行ったことでさらに大きく下落するというまさかの事態に陥り、株式市場が単純に利下げを好感しないことが明確になってしまいました。

その後は1000ドル規模で大きく戻したり売られたりを繰り返し、ほぼバブル相場の末期に現れるボラティリティが異常に大きな相場状態に陥っています。

今回の相場は一時的なリセッションや金融危機といったものならば確かに利下げや緩和による効果が表れるわけですが、ウイルス感染で経済がマヒし始めており景気も想像を超えるほど下押しが始まっている点が大きく異なるもので、下手をすればさらに暴落が続く可能性が出てきている点に注意が必要です。

ドル円はすでに7.2円の下落

ドル円は2月に突然上昇をはじめて112.227円レベルまで上昇してから一気に下落に転じることとなり、とうとう6日のロンドンタイム、米国の雇用統計の結果が出る前に105円台を一瞬割るほどまでに下落を継続しました。

週末ということもあって多少のひげをつけて105円台で週末の取引を終えていますが、すでにこの段階で高値から7.2円もの下落を示現していますから本来ならばひと相場が終わった感があるのは事実です。

ドル円4時間足推移

しかしこれで下げ止まるかどうかは全くわからず、国内のPKO軍団が買い向かっても所詮為替介入ではありませんから相場水準を支えられるかどうかは全くわからない状態で、株価がここからさらに大崩れすればまさかの100円方向により下落することも想定しておかなくてはならない状況に陥っています。

またかなりの値幅を伴って下落していますから逆に戻りを試して場合には相当跳ね上がることもありそうで、相場がどうなるのかはしっかり見極めてからエントリーしていきたい時間帯です。

市場はさらにFRBの利下げを期待

0.5%の利下げが断行されたわけですから、3月のFOMCでさらに追加利下げをFRBが実施するとは考えにくい状況ですが、残念ながら市場の期待は非常に強くまだ金利の下落はありそうな雰囲気になってきています。

こうした期待が強いことから、ドル円はほとんど戻りを試すこともなく延々と下落する週になり、週明け多少なりとも流れが変わるのかどうかに注目が集まります。

本邦の輸出税は社内のドル円レートを少なくとも107円以上に置いているところが多いですから、金融当局も年度末にむけてなんとか相場を押し上げたいと思っていることは間違いなさそうです。

果たしてそうした思惑通りに相場を動かすことができるかどうかはまったくわからないのが正直なところです。

また新型コロナウイルス対策などで余分な予算設定を余儀なくされているトランプ政権は逆に大きなドル安を志向してくる可能性があり、想像を超えるレベルで円高が進む危険性も十分に残されています。

この相場の下落が最終的に10年以上続いた中央主導のバブル相場の終わりの引き金を引いてしまう場合、トランプ政権誕生から無理やり上昇してきたNYダウのが完全に逆戻りして1万7000ドルレベルにまで下落するという悪夢のような事態に陥る危険性がかなり出始めてきています。

11年も連続して景気拡大してきた米国市場ですから、巻き戻しがはじまれば想像を絶する下落に見舞われるリスクはかなり高く、本当にそこまでの状況になるかどうかは誰にも分りませんが、一応頭の片隅にそうした事態に陥る危険性があることだけは意識しておきたいところです。

パンデミック相場というのは市場参加者の誰も実際に経験したことがなく、さらにAIが相場に入り込んでは大きく値動きをかく乱していますから、あり得ないレベルまでの下落を全く否定することはできないのが実情です。