3月17日米国のムニューシン財務長官は、出尽くし感満載のFRBの金融政策の後を受ける形で大幅な財政政策に打って出ることを示唆し、株式市場は大きく上昇するととなりました。
折角3月二回にわたって大幅政策金利下落に打ってでたはずのFRBでしたが、どうも株価を戻す決定打にはならなかったようで、残り少なかった政策金利の幅を無駄に使ってしまった感は否めません。
PPT・プランジプロテクションチームを率いるムニューシンとしては、次なる手を打つことで株価の下落に歯止めをかけることを考えたのは容易に想像できるものがあり、詳細は開示さてていませんが国民一人に10万円相当の小切手を配布するなど大胆な政策に打って出ることが見込まれはじめています。
もちろん何もしないよりは大きな助けになるであろうことは間違いなさそうですが、果たしてこれが新型コロナ対策として景気を下支えできるのかどうかは正直なところまったくわからないものがあります。
イエレン、バーナンキなどのFRB株買い発言が裏目に出た可能性も
FRBの利下げと日本円にして80兆円という巨額の金融緩和、QE4を打ち出したにもかからわず全くワークしなかったのにはいくつかの問題があるようです。
一つは利下げでは新型ウイルスをやっつけることができないという基本的な問題があるのでしょうし、事前段階で過去のFRB議長のイエレン、バーナンキ、そしてボストン連銀のローゼングレンなどがFRBは法律を変えてでも日本の日銀がやっているようなダイレクトな株式の購入に踏み切るべきであると、秘策中の秘策を前倒しで口にしてしまったことが相場からさらなる催促を求められる結果になったとみる向きもあり、いずれにしてもFRBの動きは相場に満足感を与えないことになったのは間違いないようです。
日本における日銀のETF買い入れ額増強などに対する相場の反応も似たようなものですから、すでに中央銀行が長年続けてきた人工値付け相場のやり方の延長線上の政策拡大には、市場が満足しなくなっていることだけはどうやら間違いなさそうな雰囲気です。
ムニューシンの大幅財政出動発言で一旦は株も戻したが決して安定しない状況
とりあえず米国が財政出動でパンデミック相場の景気下落を支えようとしていることには相場もそれなりの好意的反応を示していますが、翌日18日の東京タイムでは既にNYダウ先物がまたしても下げに転じており、何をしても相場が大きく戻ることには寄与できない状況が続いています。
NYダウに関して言えば、既にボリンジャーバンドのマイナス6σという確率的にはありえないほどの下落を示現していますから、とにかく一旦大きな戻りを試してもおかしくはないはずです。
そうした動きが現れないということは、今回の下落ですべて投げを出し尽くして下落の底値を付けていない可能性が高く、さらに相場の下落といった最悪の事態がここから訪れることも覚悟しておく必要を感じます。
為替では依然ドル需要は驚くほど強い状況継続
為替の世界ではとにかくドルキャッシュを求める市場の動きが強く、NY連銀が連日つ50兆円などというありえないほどの資金を短期のレポ市場に投入しても、流動性のひっ迫を制御できない状況が続いています。
株式市場や米国債の市場だけみていますと、相場は大きく揺らいだもののまったく流動性が枯渇したということは回避できているように見えますが、相対取引で売買がすすむ一部の債券市場に関しては想定している以上に流動性が枯渇しており、売るに売れない商品の領域がありそうに見えてきます。
こうしたことが資本市場での資金の流動性枯渇に繫がっている可能性は十分にありそうで、まだまだ金融市場はここから波乱の展開に突入することだけは覚悟しておく必要がありそうです。
今回の相場の下落はとにかくリーマンショックの時の暴落よりはるかにスピードが速いようで、すでに1929年の世界恐慌並みの速さになっているとの指摘もあります。
またAIが相場に絡むことによって必要以上にオーバーシュート気味に上げたり下げたりする異常なボラティリティの示現も見られ、ほとんどの市場参加者にとってはかつて見たことのないような動きを毎日垣間見ることとなっているのは間違いなさそうです。
それだけに市場参加者の判断も曇りがちで、多くのファンドや個人投資家が損失を被っているとも言われています。
ここからの相場はとにかく油断することなく、また方向感を断定することもさけて柔軟に対応する必要がありそうです。
あまりにも訳が分からない状況下では、一旦相場から撤退して様子を見るという判断も重要になりそうです。
市場は一段とむずかしい時間帯に入り込もうとしています。