3月16日からの一週間、為替相場は驚くような動きになりました。

ドル円4時間足推移

瞬間的に3月9日に101.175円まで下落したドル円はその後一定のショートカバーとなり、まさかの108円台中盤まで戻す展開となりました。

その後は株式市場の上下動に巻き込まれるかのように下落と上昇を繰り返すこととなりますが、16日のNYタイムで米株が大きな暴落をしはじめたあたりから今度はまったく連動して下がらなくなり、逆に1円以上に値幅を伴って毎日NYタイムで大きな上昇を見せることとなりました。

これは米株を中心とする相場が大暴落となりほとんどの市場でレバレッジをかけて、いわば借金をして取引をしてきた市場参加者が広範にマージンコール、追証を求められることになったことから、ドルキャッシュへの需要が強烈なものになりドル円もそうした需要をうけて111円台中盤まで上昇するという驚きの展開になってしまいました。

この間、FRBを含めて主要中銀も米ドルの流動性を確保するために相当な資金を理市場に流入してきたわけですから、ここまで為替市場でドルに引き合いが強まるというのはなかなか想定できない事態となりました。

2月20日に112円台中盤まで上昇してから崖を転げ落ちるようにして11円下落したドル円は、その後たった9営業日でほぼ前値戻し一歩手前の10円上昇するという異例の展開を見せることになりました。

異例の展開はクロス円にも示現

驚くべき状況となったのは、クロス円にも現れることになります。

ポンド円は3月14日の週末の取引では134円あたりでしたが、19日には瞬間的に124円と10円も下落することとなり、ドル高とともに円高が進んだことでクロス円全般が同様の動きになってしまいました。

ポンド円4時間足

常態的に大きな動きをするのがポンド円の特徴です。

さすがにこの動きに巻き込まれてロングを切らされた個人投資家はかなり多かったのではないかと思われます。

豪ドル円 4時間足推移

こうした動きは豪ドル円にも現れることとなり、3月16には対円で68円あたりで推移していた豪ドル円は19日のアジア時間の朝にいきなりクラッシュして、59.860円をつけるという大きな下げに見舞われています。

相場に大きな暴落が到来した後ですから、想定外の上下動がでるのはよくあることです。

異常とも思える需給面からのドル買い需要の強さと並行して円買いも進んだ為替市場では、これまでにないような動きが随所でみられることとなりました。

仕掛け売買の雰囲気も感じる相場状況

ただ、本邦が春分の日でお休みとなった20日のアジアタイムからロンドンタイムにかけては、思い切り買いあがったドル円があきらかに利益確定売りと思しき大きな下落に転換する時間帯が続き、111.300円台まで上昇したドル円は夕刻になんと109.300円台まで下落するといった2円幅の動きを見せることになりました。

ドル円3月20日の推移

さすがに多くの市場参加者がドル円におけるドル買い需要が一服したのかと思ったはずですが、その後のNYタイムではまたしても上昇をすることとなり、売り向かった向きはあえなく踏みあげられて切らされる展開となり、111.500円をつけるというまさかの動きを垣間見て週の取引を終えています。

確実に需給面からドルがひっ迫して相場を押し上げていることは間違いなさそうですが、ここまで極端に上昇してしまいますと、なんらかの仕掛け売買が入っているのではないかといった詮索もしたくなる状況で、間尺に合わない相場状況に延々と付き合わされることになってしまいました。

問題は週明けからの動き

ここまで想定外の激しい動きを見せると、週明けからの為替相場が一体どうなるのかが非常に気になるところです。

まずドル円はロスカットを大量に巻き込むほどの地合いの強さがあることは事実で、既に111円台中盤まで値を上げてきていますので、さらに週明け112円台に到達するような上昇をしたとしてもそれほどおかしなことはないものと思われます。

その一方で、主力中銀が協力する形でドルの市場供給を強めていますから、為替市場でドル円をこれまでのように調達する向きが依然としてマジョリティになるかどうかははっきりわからない部分もありそうで、どこかで反落する展開も考えておく必要がありそうです。

これまでのリスク回避からのドル高に加え、クロス円の大幅下落から時間差の形でドル円がいきなり下落に転じるというシナリオは十分にありそうで、上昇だけを見ているのは危険になりそうです。

予想レンジとしては、112.500円から下値は108円程度と先週よりは値幅が限定的になることが予想されますが、それでも長く続いた1日1円以下の相場とは大きく異なるそれなりのボラティリティのある展開が続きそうです。

また実際に相場を見続けてきた方はお気づきかと思いますが、ロンドンタイムからNYタイムにかけてここの所毎回ドル円が上昇する動きが顕在化しており、東京タイムとはどうもセンチメントの違う時間帯が現れるようになっています。

こちらについても週明け以降継続していくのかどうかに注目が集まるところです。

肝心の新型コロナの感染のほうは決して一息ついているわけではなく、金融市場の一旦底をつけたかのように見えてもまだここから二番底三番底を目指す動きがでてもおかしくはない状況です。

一定のシナリオを描いて取引するのは悪いことではありませんが、想定イメージと現実があまりにも乖離した場合には素直に損切をして一旦相場から外に出て、冷静に次の動きを考えるといった証拠金を守る行動も重要になりそうな一週間です。

本邦では月末は年度末でもあり、株価にしてもドル円の水準にしてもできるだけ高いところに戻したいという特別な力がかかる時期でもあります。

そうした特別なオペレーションが登場することも十分想定しながら売買をすすめていく必要がありそうです。