本邦勢が例年仕掛け売りが出やすくドル円が大きく値を下げることも見られ、お休みとなるゴールデンウイークの相場ですが、今年に関しては三連休となった4日から6日まではあまり大きな動きは見られないままにお休みを消化した状況です。
週明け本邦勢は機関投資家を含めて本格的な動きに入りやすい時期になりますが、ファンド勢の決算なども控えており、突然相場の流れに変化が生じることにも注意が必要な一週間となりそうです。
ドル円は下値も堅いが上値も重い動きで依然反転下落に注意
ドル円は4月30日の月末London Fixで大きなポジション調整があり、いきなりNYタイムから上昇し始めて午後の時間帯に107.495円の高値をつける動きとなりましたが、週明け以降は徐々に上値が重くなり、週後半にはとうとう107円台に戻ることもできないまま6日のNYタイム(7日午前4時)に106円割れで下値を試す動きとなりました。
しかしそこから下には買いオーダーも並んでいたようで相場は走らず、結局106円台で8日の米国雇用統計を迎えることとなりました。
市場が注目したその4月米国雇用統計は、事前の予想通り猛烈に悪化し雇用者数は2050万人減で過去最大、また失業率は14.7%となりましたが事前予想より良かったことを好感したのか、ドル円は大きく売られることもなく106.700円台まで買い戻されて週の取引を終えています。
米株が下がらないことからリスクオフ相場にはならず、ドル円も大きく上昇することはありませんでしたが、売りも限定的で週明け以降の動きが注目されるところです。
早いもので週明けは既に5月中盤に入ることから、ファンド勢が決算に合わせるように利益の出ている株を売ってくる可能性もあり、それにつられる形でドル円が動意づくかどうかに関心が集まります。
過去20年の円の動きを見ていますと、5月からは比較的円高に推移しやすい時期に入りますので、上昇した場合には絶好の売り場として機能することも視野に入れた取引を行うべき時間帯に入ってきます。
今年の場合、3月に大きな相場変動をすでに通過しているだけに例年のシーズナルサイクルが果たしてワークするかが大きな注目点となりそうです。
ユーロドルはドイツの憲法裁判所の判決から上値が重い展開に
5月5日にドイツ憲法裁判所がECBが進める量的緩和政策に関して、その内容が明らかに参加国への財政ファイナンスであり、ドイツ連邦銀行は参加すべきでないとする判決を下したことから、ユーロドルは一気に100ポイント下落となりました。
この判決でただちにドイツ連銀の債券購入が中止されるという動きにはならないものの、今後3か月以内にその政策の有効性を説明することが求められており、ECBの政策にEUの主要国であるドイツからケチがついたのは少なからず、今後のECBの政策決定に影響を及ぼしそうな状況です。
このコロナ禍で極めて厳しい状況に陥っている域内加盟国を支援するためのEUによるコロナ債を発行することも考えられているものの、大きな被害を被ったイタリア、スペイン、フランスと比較的軽微な被害にとどまるドイツ、オランダの対立は想像以上に激しいものになろうとしており、ややもすればEU圏の枠組みを維持できなくなる可能性すら感じさせる動きになってきています。
ユーロはこの先こうしたEUの方向性の変化にも影響を受けそうな状況で、ここからの動きに注意が必要になってきています。
トルコリラは一旦取引中止ですべてポジションクローズがお勧め
新型コロナの影響を受け資金の流出が激しくなっているトルコですが、週後半にかけて対ドルでトルコリラが史上最安値をつけたことを受けて、トルコ当局がシティグループ、UBSグループ、BNPパリバグループとのリラ取引を禁止する旨を発表したことから、逆に資本規制の思惑が市場に広がり一旦ショートカバーがでる動きとなりました。
しかしトルコ当局のこうした動きのおかげでトルコリラの流動性は低くなっており、一部の国内外のFX業者はトルコリラ通貨ペアの売買を一旦中止するような動きにでています。
こうなると自由な売買が制限される危険性が高まりますので、できることならば安定した状況が戻るまでトルコリラ通貨ペアの取引は中止することが望ましい状況になってきています。
日本人投資家が非常に多く買い持ちをしているトルコリラ円も同様の状況で、さらに相場が下落するリスクを考える必要があり注意が必要な一週間となりそうです。
ビットコイン半減期に伴う相場の乱高下に注意
このコラムでは滅多にご紹介しないビットコインですが、海外FX業者を利用されるトレーダーの方々は同じ口座でビットコインも取引できることから、結構取引をされていることと思います。
そのビットコインですが、5月12日前後に第三半減期が到来しようとしています。
過去2回の半減期では事前段階でかなり価格が上昇することとなり、専門家の中にはすでに大きな価格変動はないとみる向きもいれば、逆に半減期をきっかけにして下落するのではないかといった全く正反対の予測をする向きも多く、実際に半減期を通過してみないとどうなるかは判らないのが実情となっています。
いずれにしてもプライスフィーダーと呼ばれる外部のプロバイダーからの価格のスプレッドとスワップが拡大するなど、通常とは異なる動きになる可能性があります。
また半減期となる時間帯には、一時的にビットコイン関連の通貨ペアの新規ポジションの保有やレバレッジの制限がでることもありますので、できる限りこの時間帯にはポジションを保有しないもしくは証拠金を厚めに入れて対応するなどの資金管理が必要になることを認識しておくことが必要です。
FXと同じ口座で売買をしている場合には既存のFX取引まで大きな影響を被りかねませんので、ご注意いただきたいと思います。
このように週明けからの一週間は取引する相場によって注意すべきポイントが異なります。
できる限り正確に理解してリスクの少ない取引を心掛けることが重要です。