ここのところ長く膠着状態が続いた為替相場ですが、いよいよ7月終盤にさしかかって相場も動き始める気配が強まっています。
週明けもドル円とユーロドルの動きに注目していきたい一週間が続きそうです。
ドル円はとうとう106円を下抜け
ドル円は20日の週107.11円レベルで終の取引をスタートさせましたが、107.53円レベルまで上昇してからは上値が非常に重い展開となり、その後は徐々に上値を切り下げる形で推移したあと、とうとう107円台にも戻れない形で金曜日の東京時間に下値を試す展開となりました。
106.500円を割れてからはストップロスを次々とつけるような動きから、結局同日のロンドンタイムに106円を下抜け105.681円まで下落しましたが、週末ということもあって買い戻しが入りなんとか106円近辺で週の取引を終えています。
もともと上値が重く挙動が非常にかぎられていたドル円でしたが、結局大きな動きのきっかけとなったのは米国がヒューストンにある中国領事館をスパイ活動の関連から閉鎖する命令を出したこと、それに対してすかさず中国も成都の米国領事館の閉鎖を報復措置として命じたことなどから米中の対立がいきなり激化してしまったことで、まず24日の上海総合指数が大幅下落したことでスイッチが入った相場はNYタイムにむけても大きく下落し、リスクオフから円が買われるという久々の動きが明確に示現することとなりました。
週明け以降も米中の対立が激化する可能性はかなり高そうで、とくにトランプ政権については大統領選挙をにらんで中国をたたくことが、結果的に民主党が長く続けてきた中国への放任政策が完全に失敗であったことを訴求し民主党支持を蹴散らす大きな材料となるだけに、11月まで延々と続く可能性がではじめている状況です。
恐らく株価もそれなりの下落になるリスクもありますが、中国関連での下落は民主党に大きな影響を与えるだけに簡単にはやめないことも予想され始めています。
先般発売されて話題になったボルトン補佐官の暴露本を読みますと、どうも米中の対立はプロレス的色彩が強く本当に徹底的な戦いになることはないのではないかとも感じたものですが、今回はポンペオ国務長官が旗振り役を勤めており、すでにここ20年の米国における対中戦略は大失敗であったとさえ言い切り始めていますので、どうやらトランプの情緒的発言だけではないシステムズアプローチによる民主党攻撃が本格スタートしていることは間違いなさそうで、想定外の状況に発展することも視野に入れておく必要がでてきているようです。
ユーロドルは明確な上昇トレンドを形成
一方、ユーロ圏での復興債の設定をなんとか成し遂げたEUのおかげでユーロドルには強い買いトレンドは発生しはじめており、久々に上昇のトレンド相場が形成されつつあります。
すでに1.165を超える流れとなっていますが、まだこのトレンドは続きそうでチャネルラインの下値で買い向かえばそれなりの利益を確保できる可能性もではじめています。
市場ではドル安が全体としてかなり明確になってきており、これがここから夏場に向けての一時的なものなのか、FRBが大量にドルを市中に送り込んだことにより、相対的にドルの価値が下落をはじめた前兆なのかを見極める必要がありそうです。
ただ、ユーロ圏はかなり新型コロナの影響を克服してきているとはいうものの二次拡大がここから起こらない保証はまったくないだけに、どこかで欧州起因の問題から上昇がとん挫することも意識しておきたいところです。
週末は月末特融の売買にも注意
7月もすでに週明け一週間が最後となりいよいよ8月相場ですが、月末特有の実需いよる特殊な決済需要がでることで思わぬ動きになるリスクにも注意が必要になりそうです。
通常シーズナルサイクルからいいますとこの時期は閑散相場に入り、米株もドル円も下落傾向が強まる時期になります。
果たして今年はそうしたシーズナルのアノマリーがワークするのかどうかが注目されることになりますが、ドル円はここからお盆明けまでは例年円高傾向になりやすいため注意が必要になってきています。
とくにドルインデックスで見ますとさらにドルは弱くなりつつありますので、ユーロドルに強いトレンドがではじめているのは当たり前の状況で、さらにドル円にも同じような傾向が現れるかどうかが注目されます。