米国がレイバーデイから明けると例年相場は大きく動き出すもので、今年は特に顕著な状況で米株が大崩れをはじめ、為替ではポンドがBREXITネタで下落、それに追随するようにクロス円の値動きが非常に活発になる一週間が続きました。
しかしその中でも主要通貨ペアは逆に膠着した動きになってしまい相場のテーマ、注目点がかなり変わってきていることを実感させられます。
ドル円は大きく動かず膠着状態に突入
ドル円は米株が大きく崩れ始めたことから一時的にはドル安円高方向に動くそぶりを見せましたが、リスクオフではドル買いと円買いが同時に起きることから多少の円買いが示現した程度で週を通してみますと、後半に向けて値幅が30銭もないという典型的な膠着状態に陥ることとなりました。
上のチャートをご覧いただくとわかりますが比較的狭い値幅でペナントを形成しており、この三角形の旗のような形の中を上か下に抜けるまでは益々方向感がつかめない状態が続きそうです。
ざっと見ますとまだ10日近くはこのペナントの中に値動きが収まる可能性があり、9月末にはどちらかに明確に抜ける動きになりそうで、それまでは上に行けば売り、下に行けば買いで逆張りで小銭を稼ぐことしか考えられそうもありません。
積極的な取引を考えるのであればクロス円などほかの通貨ペアに注目したほうがよさそうな状況になってきています。
ユーロドルもECBのユーロ高けん制がうやむやで上昇して下落
ユーロドルについてもECBのレーン専務理事が、9月に入って1.2を超え始めた段階で強くユーロ高に対するけん制発言を行ったことから、10日のECB理事会後の金融政策の声明やその後のラガルド総裁の会見で、なんらかのユーロ高に対する明確なコメントがでることを市場は期待しましたが、当のラガルド総裁からは非常に玉虫色の発言しかでなかったことから、ユーロドルは大きく買い戻され1.19に復帰する動きとなりました。
しかしその後ポンドが株の下落とともに急落したことで元に戻るという行って来いの動きになり、強くポンドの影響を受けていることを明確にする相場となってしまいました。
その後もユーロドルはポンドの動向に非常に大きな影響を受けるありさまで、相場のテーマが完全にポンドに移行したことを強く感じさせる時間が続きました。
相場最大のテーマはBREXITで揺れるポンド
週明けの為替相場ですがやはり市場の関心、テーマはポンドの動きが中心になりそうな雰囲気です。
それと言うのも、今年年初に締結されたはずの英国とEUとの離脱協定を今頃になって再度英国が国内市場法案を策定する動きを見せており、事実上反故にしようとしていることにEU側が猛烈な反感を抱くようになっているのがポンド相場に大きな影響を与えて始めているのです。
もともと英国がハードBREXITを志向していることは市場にも織り込まれていましたので、今さら相場が蒸し返すことはないかと思われましたが、この一件からまったく合意なき離脱に逆戻りするのではないかといった懸念が一気に高まりをみせており、この交渉決裂次第ではさらにポンドは大きく下落する可能性がではじめています。
チャートを見返してみますとポンド円は9月1日以降すでに7円も下落するありさまで、直近でも1日に3円強下落するなど当たり前のようにボラティリティが高まっています。
この先ポンド円がさらに下落するようであればドル円の下落ににも影響を与えることになるものと思われ、ほかの通貨ペアで取引をされる場合でもポンドの動向には注意が必要になりそうな一週間です。
欧州各国と対立するトルコの動きも極めてリスキー
政治的な材料からリスクが高まっているのがトルコリラで、トルコが東地中海で進めているガス田の探査に関して隣国のギリシャやキプロスと大もめになっていることから、まかり間違えば戦争にもなりかねない険悪な状況に陥っています。
さらにトルコはリビアの扱いをめぐってフランスとももめごとになっており、EU圏の南欧諸国7か国と日所うに険悪な関係にあるため、こちらも状況次第ではトルコリラが想定外に売られる危険性が高まっています。
トルコリラ円は多くの市場参加者から本邦個人投資家がスワップ狙いで大量にロングを保持し続けていることも認識されていますので、売りが進めば強制ロスカットなどをつけてさらに大暴落しかねないだけに、こちらもドル円で取引される方にとっては危険性の高い状況となっている点はしっかり把握する必要がありそうです。
このように週明けからの為替相場は政治的な要因で動く通貨の影響を主要通貨ペアも受ける可能性が高く、とくに不意打ちの形でドル円が円高方向に動くリスクについては常に意識しておかなくてはなりません。
結構神経質な相場の一週間が到来しそうな状況です。