金融市場は3月の新型コロナの相場暴落からFRBが積極的に推し進めてきた無制限の金融緩和と資産の買い取り策がある意味で功を奏して米株相場が驚くほど上昇に転じており、ある種のバブル相場を形成しています。
とくにハイテク領域の多いNASDAQは完全にコロナバブルの様相を呈してきましたが、9月に入ってからはさすがに過剰流動性の行き過ぎを嫌ったのか相場自体が自律的に調整局面に入り始めており、米株と相関性の高いユーロドル、豪ドルドルなど為替の一部通貨ペアにも明確な調整が示現しはじめています。
上のユーロドルと豪ドルドルのチャートを4時間足という同じスケールで比較してみますと、見事に似たような形状をして下落しており米株相場と相関性の高い動きを明確に示現していることがわかります。
ユーロドルは9月一時1.2をつけるユーロ高の場面もありましたが、新型コロナの影響で景気が悪化しここから二番底をつけにいくリスクも出始めている中にあってUKの合意なきBREXITのリスクも格段に高まっていることから弱含む展開になってきており、またECBのラガルド総裁もユーロ高をけん制するような発言をしていることなどが重層的に重なり合って、一気にユーロ安が展開しはじめています。
豪ドルはかねてから米株相場と非常に正相関の動きをみせる通貨として知られていますが、9月以降の米株の下落調整局面には完全に相関性のある動きをみせており、ユーロドルとともに大きな下落を示現しています。
9月最終週から10月にかけてもこうした動きが継続するのかどうかに注目していきたいところです。
ドル円は一旦上昇しているがこのまま続くかどうかがポイント
ドル円は本邦の4連休の休みに合わせるかのように104円を割り込みかねないほど下押しを試しましたが、結局連休明けには105円台に戻る動きとなり、9月第四週は後半に向けて高値を試すような相場になりました。
ただ、値幅はそれほど驚くものではなくようやく105.700円円台にタッチして105.600円台で週末の取引を終了しています。
一週間を通してみますと再上昇しているように見えるわけでかなり上値は重くなっており、週明けから逆に反転下落に転じるリスクについても意識しておきたいところです。
週明けは月末、四半期末、本邦半期末のリバランス出現に注意
9月も終了ということで週明けはすでに10月に突入することになり、この週は月末でありしかも欧米勢いは第三四半期末、本邦勢は2020年度の半期末ということで、株についても為替についてもとにかくリバランスが出やすい時間帯になります。
米株は予想以上に上昇したことから、リスクパリティ戦略をとっている年金やファンド勢はとにかく上昇した分の株を売却して分散投資を平準化する動きにでていますから、この一週間は売られやすくまた個別の通貨では本国に資金が戻るレパトリも出やすくなる時期です。
とくに本邦は半期決算の期末であることから、海外資金が日本に戻るためにドルが売られて円が買われるという特殊な動きが示現しやすく、ロンドンフィックスの時間帯などに突如としてこうした円転玉が飛び出してくることにも注意が必要です。
9月第四週は後半に向けてリスクオフが進み、相場ではドルがかなり買い戻される動きが目立ちました。
ドル円はドル高と円高が同時に出現することから、思ったほど大きな動きにはならない相場を形成していますが、それでも徐々にドル高が進行中です。
ただ、週明けは特殊な期末要因からドル円が一時的に反転下落する可能性も視野に入れた取引を行いたいところです。
米国大統領選テレビ討論やUKのBREXITにも注目
9月30日、日本時間の朝8時から90分にわたって米国大統領選挙候補であるトランプとバイデンのテレビ討論会が開催されます。
都合、3回開催される中での初戦となる30日は果たして認知症疑惑がもたれているバイデンがトランプとの議論にまともに応戦できるのかどうかに注目が集まりそうで、ここで完膚なきまでに叩きのめされたり言葉につまるような状況が示現するとトランプ有利が俄然強くなり株価やドル円にも少なからず影響がでそうな状況です。
また、UKのEUからの合意なき離脱の期限もさらに迫ってきており、現在UKの議会が進めている国内法案が正式可決するようなことになればEUの厳しい対応が出てくる可能性もあり、ポンドにとっては正念場の時間帯を迎えることになりそうです。
ポンドの下落はユーロの下落でもあり、ドルが強まりますのでこの材料だけでドルが上昇することも考えられますが、2016年のBREXIT投票時の相場の動きを思い出しますとドル円は大幅に円高になっていますから、下落する可能性は高そうでこちらにも気を配らなくてはならない一週間となりそうです。