今年の相場もあと1か月強になり、米国の感謝祭も近づいてすでに終焉が迫ってきている印象を受けますが、思い返してみますと新型コロナの感染の世界的拡大で相場が暴落して以降の動きは大方の予想と全く異なるものになりました。
とくに株式市場では3月の暴落後、FRBの急激な緩和措置などもあって株価が異常に盛り返し暴落前以上に上昇する相場となり、ドル円も驚くほどのドル資金が市中に投入されたにも関わらず、ドル安はついぞ示現することがないままドル高が続くこととなりました。
さすがに大幅なドル上昇には至っていませんが、株も為替も大方の市場参加者の予想とは全く異なる動きを見せて年末に至っている点は見逃すことができません。
ところがここへ来てさらに新型コロナの終息がきっかけとなって驚くべき展開が予想されはじめています。
コロナの終息は株価下落、ドル円ドル安のスタートか
新型コロナ世界的大感染で3月暴落からはじまったコロナ相場は、その後各国の中央銀行が緩和策を拡大しなんとか株価の暴落を防ごうとしたことがある意味功を奏し、ロビンフッダーなどの個人投資家の市場大量参入を経て、まさかの史上最高値更新という動きを示現することになりました。
この間新型コロナの感染は全く収束しておらず、経済状況も決して改善はしなかったわけですが、景気の先行指標となるはずの米株は実態経済との乖離を思いきり無視して上昇することとなりました。
これはある意味で人類が資本主義経済を開始し、金融市場がはじまってから経験したことのないような動きを示現することになったわけです。
とくに景気とは関係なく相場が上昇し、しかも史上最高値さえ示現するというのは長く相場にかかわった投資家でもほとんど正確にその理由を説明できないのが現状で、単なる金余りの中で資金が株式市場に集中してしまったというのが実情のようです。
ドルは来年20%下落との予想も登場
そんな中ここへきて、製薬各社から新型コロナのワクチン開発でかなり治験の結果がいいものが次々と現れはじめ、これが相場に新しい動きを吹き込もうとしています。
新型コロナの悪い材料が織り込まなかった相場が、ポストコロナでウイルス終息の先を織り込み始めたことは、非常に注目すべき状況といえます。
その一方で中央銀行が過剰な緩和策を終焉し、各国政府も経済対策を一旦お仕舞にすることから、それを材料にして株価が下がるのではないかという悲観的な見方も広がりつつあります。
一部のウォール街の関係者は、ここからずっと新型コロナが終息しなければ株価は未来永劫に上昇するといった荒唐無稽な発言をしているようですが、実際は各国の支援があるからこそ大きく持ち上がった株式市場は、コロナの終息で逆回転しかねない状況も考える必要がでてきているようです。
これは為替でも同様で、シティバンクはすでに11月16日のレポートにおいてワクチン配布は彼らが設けた弱気相場のチェックポイント全てに該当し、ドルは2000~2010年の前半と似たような道筋をたどるとみているとかなり衝撃的な見通しを語っています。
つまり21年中にはざっと20%程度下落する可能性があるということで、ドル円のレートから考えれば80円に近いレベルさえありうるわけで穏やかではありません。
コロナ禍で上昇した相場はワクチン完成で暴騰し、実際の支給で反転大幅下落するということを真剣に考えるべき時間帯に入ってきているようです。
すでにここからは年末よりも年明け相場を考える時期にさしかかってきていますが、来年はポストコロナでまた全く想定外の相場が展開することに相当な注意を払う必要がでてきそうです。