いよいよ1月7日に政府から首都圏一都三県について非常事態宣言が発令されることとなります。
これは昨年4月に続き二回目のことで、どういうことになるのかについては想像がつく状況ではありますが、感染者数が昨年の春先とは比べ物にならないほど多いことから、これまで新型コロナの実態経済への影響を全く無視する様に上昇してきた株式相場や為替相場にいよいよ影響を与えることになるのかどうかに注目が集ります。
これまでのところ、非常事態宣言発令のニュース報道を受けて日経平均やドル円が一時的に下落するといった動きは示現していますが、大幅な下落を継続するような動きにはなっておらず、昨年のように全く影響を受けずに今のまま粛々と相場が上昇するような動きを継続できるのかどうかが大きなポイントになります。
医療崩壊への直面は前回の非常事態宣言にはなかった問題
前回と今回の非常事態宣言が違うところは学校からあらゆる施設、イベントに至るまですべての機能を停止させるのではなく、もっぱら飲食店の営業時間だけを制限するばかりの状況になっていることです。
また、医療崩壊がすでに起き始めている点も大きな違いで、仮に新型コロナに罹患しなくてもほかの病気で医療のサポートを受けることができなくなることが予想されるだけに、状況はかなり深刻なものになってきています。
感染者のみならず、一般の病人やけが人までもが適切な医療を受けられないというのは完全に都市機能の消失であり、金融市場が無視し続けられるものではなくなりつつある点が非常に危惧されるところです。
国内のシンクタンクの試算によりますと、首都圏で1か月今回のようなロックダウンが実施された場合、それだけでほぼ3兆円以上の経済損失がでるとされており、さらに14万人以上の働く人々の雇用が失われるという厳しい数字も出てきています。
今のところ今回の非常事態宣言は2月7日までの1か月間実施されることになるとのことで、専門家からはすでに1か月だけでは収まらないという非常に悲観的な見通しもではじめており、さらに3月までもう一か月といった形で継続した場合、昨年よりはるかに大きな経済的ダメージが発生する可能性が高まります。
今回対象になっていない大阪とその他の地区は、果たして本当にそれで乗り切れるのかどうかも大きな問題になりそうです。
三度目のロックダウンを実施した英国ではポンドが売られ株価は低迷
日本よりはるかに厳しいロックダウンをすでに3回も実施している英国では、ようやくBREXIT交渉も乗り越えたものの全国的な封鎖の決定でポンドが厳しく売られる展開になっており、株価にもその影響が明確にではじめています。
これまで英国の株式市場も新型コロナの影響を大きく被ることはありませんでしたが、やはりかなり厳しい経済状況が示現すると相場も全く無視するわけにはいかないのが現実であり、今回ばかりは本邦株式市場でも具体的な影響がでることが非常に危惧されるところです。
為替も同様でリスクオフが強まればドル円は大きく下落することが予想され、102円台に入り込んでいる相場の水準は100円方向に向けて突き進む可能性すら考えておく必要がありそうです。
市民生活では新型コロナの報道はすっかり飽きがきているとともに、周辺に感染者がいないとどうしても正常化バイアスがかかって危機意識も薄れがちで、最近ではほとんど無症状の感染状態からいきなり重篤な症状に移行し命を失うことさえあるだけに、やはり爆発的感染はきわめて重大の状況といえます。
相場に影響がではじめればこれまで上昇した分が殆ど反転下落になる危険性もあることから、この先春までは厳重注意の時間が続くことになりそうです。