1月第一週の金融市場は、米国民主党バイデン政権が正式にスタートすることが今更決定したことを受けて、本来11月に示現すべきであったような好感相場が展開し米株は大きく上昇を遂げる動きとなりました。
当初、米上院と下院がねじれているのがもっとも株式市場には都合がいいといった見方があったものの、いざブルーウエイブが実現となればそれもまたすべて好感して相場が上昇するという動きになっていることに改めて驚きを感じるものがあります。
ただ、相場がそういう動きをする以上否定しても仕方なく、とにかくそれにどこまでついていくかが投資家にとっては大きな問題になりそうな一週間となりそうです。
すべての政治動向、経済指標をいい所どりする身勝手な相場
米労働省が8日に発表した昨年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比14万人減と8カ月ぶりに減少に転じる結果となりましたが、株も為替もほとんどこれには反応せず、むしろ状況が悪くなればまたFRBが何か手立てを打ってくるといった楽観的な見方でやり過ごすような動きになっています。
米債が売られ金利が上昇しはじめており、10年債金利も1%を超えたままの状況が続いていますが、株式市場はこちらもどこ吹く風の状況で政治状況にも経済指標についても相場が勝手にいい所どりを始めていることが強く窺われるのが実情です。
米国が量的緩和をやりはじめてからはこうした相場の動きというものは過去にも顕在化したことがありますが、状況はそれをはるかにしのぐ猛烈なものになっており、投資家としては先行きをどう判断するのかが非常に難しくなっていることが窺われます。
ビットコインは対円でとうとう430万を超える勢い
年初から暴騰状態にあったビットコインは、とうとう対円で400万円を簡単に越える動きをみせており、一部の金融アナリストが500万まで到達するのではないかとしていた予測を本当に実現しそうな勢いとなってきました。
機関投資家やファンドの一部が雪崩れ込んできたことを追いかけて、個人投資家が大量参入したことで、短期間に市場規模が猛烈に膨れ上がったビットコインはすでにフェイスブックの時価総額を凌駕する勢いになっており、こちらもほとんど合理的な説明がつかない状況に陥っています。
一言で言えばカネ余りのなせる業ということで、投資の行き場を失った資金が大量に流れ込んでいることがこうした状況を示現しているものと思われます。
こうなるともはやファンダメンタルズをベースにして相場の先行きを予測するのは非常に難しく、この相場についてくか否かしか判断要素がなくなりつつある点に危機感を感じる次第です。
実態経済にはなんらいいことがなく、企業業績も一部のIT系を除けば全くよろしくない状況が揃っているのに、金融市場だけがそうした事実に一切お構いなく上昇するというバブル相場は過去のものとも大きく変わっており、それを具体的に示しているのがビットコイン市場といえる状況であるのにはかなりの違和感を感じるトレーダーが多いのではないかと思われます。
米債金利上昇で当面ドルはそれに連動して上昇か
現実の相場状況にもどって考えますと、米債金利の上昇でドルはそれに引きずられる上昇の動きを見せており、ドル円では値ごろ感から104円近隣でショートにしているポジションが引かず、将来的には再下落となるにしても一旦こうしたショートを切るために上方向に上昇せざるを得ないところにあることを感じます。
ここから105円を超えるところまで強含むかどうかは甚だ疑問ですが、週明けは一旦上値を追う動きが示現することが予想されます。
ユーロドルも同様で、年末までかなり強い勢いでの上昇もみられたユーロはここへきてその勢いが削がれ始めているのが気になるところです。
ファンダメンタルズ的な弱さの状況は、直近の相場にはほとんど影響しなさそうではありますが、新型コロナがまったく終息しない状況は株価にもプラスにはなっておらず、米債金利の上昇の後押しでユーロドルも下落方向を見ていく必要がありそうです。
ただし、年間のシーズナルサイクルから言えばドル円も米株もそろそろ月の後半から反転する動きが示現することが多いだけに、春先までこの動きが継続すると考えるのも危険で、個別の相場の動きを十分に見ながら変化の兆しを捉えることに集中したい時間帯になってきています。
国内ではこの時期戎天井などと言われいきなり相場の流れが変化することもありえますので、引き続き十分に注意した取引を行う必要がありそうです。