米国株式相場は一旦一時的な転換期に入るのではといった見方が出ている中にあって依然堅調で、例年1月に調整する相場が今年は訪れないのかどうかに注目が集ります。

米国ではバイデン政権の具体的政策が一体どのようなものになるのか、またタイムスケジュールに関心が集りつつありますし、債券金利が上昇しつつある中でFRBが次なる緩和措置を繰り出してくるのではないかといった期待感も高まっていることから、相場の地合いは決して悪くない状況で、たいした材料もないままに実態経済から大きくかけ離れた相場がここから延々と続くのかどうかが大きなポイントとなっており、長くこの相場に関わってきている有名投資家たちは一様に先行きのリスクを口にしていることも気になるところです。

そんな中でこの新型コロナバブル相場の先行きを示唆する重要なインジケーターとして機能し始めているのがビットコインとテスラ株の推移で、この2つの動きに注目する市場参加者が非常に増えているのが現状です。

ビットコインはかなり危うい状況で安心して見ていられない

BTC USD 1か月推移

年初来大きく上昇したビットコインですが、今回の上昇プロセスでは既存のレガシーなファンド勢もかなり参加して資金を投入しているところに個人投資家が後発で雪崩れ込んでいる状況で、プロのヘッジファンドが市場にいる以上、単に買いだけではなく売りの相場も展開しやすく、売りが出るたびに毎回20%近い値崩れが示現するというリスクの高い相場になっています。

2017年末のビットコインの上昇は、本邦の個人投資家がかなり大きな役割を果たしたとされていますが、当時は市場に参加した個人投資家の実に6割以上がいわゆる仮想通貨FXでレバレッジをかけて取引きをしていたことが判っており、今回はどのぐらいの比率なのかははっきりしません。

しかし、一定のレバレッジをかけて相場に臨んでいる個人投資家の場合20%の下落がでれば当然強制ロスカットで資金を失う事態に追い込まれることは容易に予想されるところで、こうした強制ロスカットが一斉に施行されたときに猛烈な暴落を示現していることが窺える状況です。

この間の上昇時でもすでに2度3度といった形で相場の振り落としが発生しており、個人投資家だけではない市場参加者の拡大は相当相場を難しくしていることがわかります。

なんとか対円で300万程度のところで押しとどまっているビットコインですが、マイニングコスト以外はフェアバリューを示すものがなく、しかも実需が全くといっていいほど存在せず参加者全員が投機志向というわけで先行き予測は難しく、今回もどうやらピークは超えてしまった感があります。

これがS&P500の先行きを示すものであるとすれば、株式市場もここからの相場をかなり警戒しなくてはならない状況です。

テスラ株は順調もこちらも一旦高値をつけたか

テスラ株過去1か月推移

テスラ株は年明け以降も順調に推移しており一旦ピークをつけた感もありますが、それでもビットコインに比べれば安定した推移となっています。

こちらが大きく崩れださない限り、当面米株のバブル状態も維持されることと思われますが、テスラについては常に日本円で2兆円を超えるショートができており、完全にバブルであると確信する向きも多いようで映画ビッグショートで一躍有名になったマイケルバリーもテスラの売りを仕込んでいるとされていることから、ここからのこの銘柄の動きにも大きな注目が集まっています。

こうして見ますとビットコインのほうの崩れ方はかなり気になるところで、テスラ株を見る限り今日明日で危機的な状況が到来するとは思えずまだ様子見が続きそうで、これがそのまま永続的に推移するとはとても思えず、どこかで転機が訪れることに十分注意したい状況です。