世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーターアソシエイツのCEOであるレイダリオが米国時間の2月23日にLinkdinの中にある自らのブログに「Are We In a Stock Market Bubble?」という記事を執筆し非常に話題になっています。

原文はこちらのサイトにアクセスして直接お読みいただくことができます。

ここではその内容をダイジェストで解説してみたいと思います。

レイダリオはバブルのことを「持続不可能な高価格」のことと定義しているようですが、現実の相場状況がバブルであるかどうかについては以下の6つのファクターからその状況を測定しているとしています。

その6つとは

  1. 伝統的な尺度と比較した高さ
  2. 持続可能な状況を織り込んでるか
  3. 新たな買い手の参入
  4. 市場心理の強気度
  5. 買い手のレバレッジ
  6. 先高を見込んだ先買いの度合い

が関係していると説明しています。

ちなみにレイダリオはリーマンショックが起きる直前の2007年についてはバブルと認定された項目は2つ、バブルっぽいとされた項目は2項目で、2000年のドットコムバブルは6項目全てがバブルに当てはまっていたと判断しているようです。

さらに世界恐慌のあった1929年は5つの項目がバブルで1つがバブルっぽいと評価されていますから、バブル度を判断しますと足元の状況は2007年よりもはるかにバブル状況を示現しているものの、2000年のITバブルよりは若干ましな状況と捉えているようです。

果たしてこれが確実に正しいのかどうかについては異論のある方ももちろんいらっしゃるかとは思いますが、レイダリオの尺度でいえば十分にバブルに突入していることがよくわかり、しかもリーマンショック時よりもはるかに厳しい状況にあると見ていることは重要な内容といえます。

レイダリオのファンドも絶不調を継続

ここまで冷静な分析をするレイダリオですが、そのファンドであるブリッジウォーターアソシエイツの運用成績は昨年に次いでかなり振るわない状況になっているようです。

2008年のリーマンショック直前、レイダリオはわざわざFRBにまで連絡をとってバブル相場が危ないことを伝えたとされていますし、ブリッジウォーターは当時のバブル崩壊には巻き込まれずに果敢に収益を確保することに成功した数少ないファンドとして賞賛されました。

しかし足元では40から50といった全く異なる商品に分散して投資するレイダリオが真っ先に開発したとされているリスクパリティ戦略は全く儲からなくなっており、一旦相場が下落しはじめるとあらゆる市場が下落して逃げ場がなくなるというかつてなかった状況に陥っているといいます。

今回のバブル相場の到来ではさすがのレイダリオでも勝手が違うようですが、その位同じバブル相場でも足元の状況はプロの投資家さえ惑わす特別な状況になってきていることがわかります。

個人投資家の乱入は投資の世界を大きく狂わせる最大材料に

現在のバブル相場ではプロの投資家も手を焼くことになっているのが個人投資家の大量市場参入です。

過去のバブル相場でも最終的なプロセスには個人投資家が相場に雪崩れ込むことは非常に多かったわけですが、この新型コロナかつ中央銀行バブルは各国ともにネット証券を通じて相場に乱入する個人投資家が非常に多く、しかも投資経験がない中でレバレッジを最大にかけて資金を投げ入れてきています。

従来からの投資パターンがワークしないというのはどうやら事実のようでクォンツファンドについてもリスクパリティでパッシブ運用をするようなファンドでもうまく利益を確保できない状態が長く続いているようです。

気になるのはこのバブル相場がどのような形で終焉していくのかですが、今のところ米国では追加の経済対策が履行されますし、FRBも緩和を簡単にはやめないとしていますから当分この状態は継続するのでしょうが、ひとたび崩壊過程になった場合にはリーマンショックをはるかに超える大きな犠牲がでることは容易に予想されるだけに非常に怖くなるものがあります。

レイダリオは崩壊過程についてはまったく触れていませんが、じきにそれが大きな問題になるのではないでしょうか。