7月第三週の為替相場で、ドル円は107円台後半で週初に寄り付いたあと一旦108.380円レベルまで上昇する動きとなりましたが108円ジャストにかなり大きなオプション設定が観測せれ108.500円を簡単に上抜ける動きにはならずに反落する動きとなりました。とくにHY連銀のウイリアムズ総裁が講演では景気を刺激する手段に限りがある場合、経済悪化の最初の兆候が顕在化した時点で迅速に利下げに動くのが得策だとまるで予防的な利下げを強く公定したような発言をしたことからドル円も107円前半まで下押しする展開となりました。このNY連銀のウイリアムズ
総裁のハト派発言のおかげで7月のFOMCの利下げに対する期待と織り込みが進んでしまい、すでにCMEのFedWatchにおける0.5ポイントの利下げの織り込み確率が45.2%というかなり異常な数字を示現するようになってしまいました。
慌てたNY連銀の報道官が総裁の講演は政策行動に関するものではないなどと火消しに走ったことから0.5%の利上げ確率は22.5%へと下がったものの、市場の関心は7月FOMC利下げかではなく0.5%の利下げになるのか0.25%にとどまるのかといった一歩踏み込んだところまで期待が進んでしまったことになります。
週明けからはFOMCを前にして相場のことを語らないブラックアウト期間に突入しますのでFOMCメンバーの発言がでることはなくなりますが、それだけに市場が催促相場に入っていくリスクも高く、FOMCの結果前にドル円が下落する危険性についいてはあらかじめ認識しておく必要がありそうです。
ユーロもECB理事会での追加観測期待からユーロ売り
一方ユーロドルのほうは収書に1.1285まで上昇する動きを見せましたが、ドイツZEW景況指数がさえなかったことやクーレECB専務理事がユーロ圏の成長見通しを巡るリスクはダウンサイドに傾斜と発言したことから上値が重くなりました。ただウイリアムズNY連銀総裁発言をうけては大きく買い戻され1.1282まで上昇したものの、週明けのECB理事会での追加緩和観測などがでたことから再び1.1220レベルまで押し戻されて週の取引を終えるという展開になっています。
7月25日にはFOMCより1週間前倒しでECB理事会が開催されますが、任期切れまであと少しのドラギ総裁が最後の務めとして金融緩和のアクションをとった場合にはユーロ安ドル高が再示現する可能性もあることからユーロとドルの綱の引き合いにはかなりの注意が必要になりそうです。
週明けのドル円は下方向への下落に注意
週明けドル円は月末のFOMCに向けて期待感から0.5%の利下げを催促するように再度下値を試す相場になる動きに注意が必要になりそうです。
また参議院選挙が終了したことで安倍トランプ会談でペンディングになっていた為替や通商問題が一気に息を吹き返す可能性がかなり高そうで、これまで控えらてきた円に対するドル高への不満発言がツイートなどで再開されることになればドル円はFOMCを待たずに大きく円高方向に下落するリスクも高まりそうです。すでに日米通商交渉に関しては外部には一切その過程が開示されていませんが、相当な部分が決まっている可能性が高くその内容は大きく国民を裏切るものになっている可能性が高まっています。具体的な結果は8月に発表されることになるのでしょうが、G20終了時にトランプがしきりに8月にはビッグディールを発表できる可能性があると不思議な示唆をしていたのが非常に気になるところです。
8月は例年ドル円が下落しやすい時期になりますが、それに政治的要因や金融当局の政策変更などが重なると思わぬほど円高が示現する可能性も高く既に夏休みシーズンではありますが緊張感をもって相場に臨みたい一週間になりそうです。