今年もまだ2か月半近く残されているわけですが、どうもドル円のほうは既に年初来高値と底値を付けてしまった可能性が高いようでこのままでいきますとここ数年来ではもっとも値幅の狭い年間8円たらずの動きで終わる可能性がではじめています。ここ10年でも10円を切るというのは相当小動きだったわけですが、どうやらそれを下回る最小の動きになるかもしれず、ここから年末にかけてドル円で売買することの妙味が益々薄れていくことになりそうな残念な状況です。

ドル円週足推移

年初のフラッシュクラッシュが悪かったか?

思い起こしてみますと年初1月3日の早朝箱根駅伝が始まるちょっと前あたりからドル円相場の様子がおかしくなりだしいきなり暴落したのが7時半近く、一部の国内業者は8時前後までまともにプライスが出ないという事態に陥りましたが、XMをはじめとして海外業者で取引をしていたトレーダーは価格こそ下がったものの特別大きな支障もなく取引を続けることができたのが印象的でした。この下げではほとんどの本邦輸入勢も指値を指していなかったころから、その直後から猛然と買いあがる動きになり、非常に短時間で110円に近いところまで買い戻される動きになってしまいます。こうしたことから春先まではとにかくドル円は下がらない動きとなり4月に入って今年の年初来高値となる112.401円とつけることとなります。しかしこの高値も2018年の高値に比べますと2円以上下のレベルで明らかに上値が抑えられてきたことが改めて理解できます。

8月には年初の安値を再度東京タイムでつけにいくような動きになったわけですが、結果としては大いなる三角持ち合い一旦下抜けたように見えたものの、またその中にもどってしまった感があります。

ドル円週足でみた長期の三角持ち合い

FRBのステルスQE実施で相場は年末まで延々レンジ相場の可能性も

すでにこのコラムでもご紹介しています通りFRGBパウエル議長は決してQEではないとしながらも11月からいわゆるPOMOなどと呼ばれる恒常的な市場への資金供給、資産買入による事実上の量的緩和を再開することを示唆しています。恐らく10月31日のFOMCにおいて正式に決定されることになるのであろうと思われますが、これが実施された場合には少なくとも年内の株価は高値が維持されることが容易に予想され、結果的にドル円も株や債券に連動する形で大きく値を下げる可能性がかなり低くなりそうな状況です。

本来は年末に向けて株価も一旦はそれなりの調整があり、ドル円も円高方向に動く恐れを考えていたわけですが、株も債券も調整しないとなった場合にはどうもドル円が今年の8円の年間値幅の枠を超えて動いていくことは相当考えにくそうな状況になってきているといえます。とくに下げなくても上値に関してはここから5円以上上昇することは全くあり得ない話ではありませんが、かなり想定しにくく、あるとすれば下方向で100円を目指すことぐらいしか考えられないのが正直なところです。政権や財務省にとってはドル円がやたらと動かずに今のレベルとキープしていることのほうが都合がいいのかも知れませんが、こうなると年末にかけてドル円で一儲けしようというのはかなり至難の業になりそうですしそもそも株も同じような状況で狭いレンジで推移してしまう残念な状況がやはり想定されるところです。

年末に向けて利益を拡大したいと考えている個人トレーダーは多いものと思われますが、ここからのトレードについてはどの通貨ペアを利用するかについてはかなりよく考えていく必要がでてきているようです。

足元の相場では米中の通商交渉をめぐって報道が飛び出すたびにアルゴリズムが反応してドル円も大きく上昇しては結果で下落するという相場が延々と続いていますが、これが今週終了しますとの年内に残されているイベントは英国のBREXITかFOMCの利下げ位とかなり限定的になりそうで、相場を動意づかせるものがかなり限られてくることをあらためて理解しておく必要がありそうです。

一般的にはハロウィンの10月末にドル円などを仕込んで年末もしくは来春に売るというトレードが例年ワークしますが、今年のこうした限定的な動きの中ではそうした明確な動きが果たしてでるのかどうかにも注目が集まりそうです。